研究課題/領域番号 |
22K08343
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
堀 和芳 帝京科学大学, 生命環境学部, 教授 (60850302)
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研究分担者 |
石田 等 日本医療科学大学, 保健医療学部, 教授 (10570898)
山田 秀俊 帝京科学大学, 生命環境学部, 講師 (70511955)
内田 恭敬 帝京科学大学, 生命環境学部, 教授 (80134823)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 急性血液浄化膜 / MPCポリマ / 抗血栓性 / サイトカイン除去 |
研究実績の概要 |
敗血症の治療に用いる急性血液浄化膜に対する抗血栓性ポリマAN-MPCの開発を行っているが令和4年度は以下の実験を行った。 1.MPCモノマのモル分率低減 MPCモノマの低モル分率による抗血栓効果が維持できるか確認するために外部研究所と共同で実験を行った。その結果、先行研究で得られた3:7のモル分率以下による重合が不十分であった(重合ポリマが必要量得られず)。検証として従来開発した実験との相違点を洗い出し以下のことが確認された 1)MPCモノマの製造メーカの相違。2)重合阻害法について従来法は陰圧窒素置換で行ったが今回、確実性を重視してアルゴン陽圧置換法を行った。3)重合時の冷却温度の違い。 2.MPCモル分率の差異に対する抗血栓性の発現 抗血栓性評価として吸光度法によるヘモグロビン定量とLDH活性を確認することとした。先行研究として実績のある外部大学病院と共同でAN-MPCポリマに応用可能であるか実験を行い、活性の発光試薬がAN-MPCポリマ接触血液に対し特異的な反応を示すか確認する必要があることが解った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までの問題点として低モル分率の重合手技が確立されていないことにある。低モル分率にする最大の理由としてMPCモノマが非常に高価である点と急性血液浄化膜にコーティングする際に偏在させたMPCによって最大限に抗血栓性の効果発現を得るためであるが試薬、重合方法を先行研究に合わせ正確にトレースして確認する必要がある。また先行研究にて行った血液灌流後のSEMおよびデジタル顕微鏡による表面観察を本研究では原子間力顕微鏡で行う予定であったが機器価格の高騰により購入が困難となった。機器をレンタルにて実施するか、新たな方法としてLDH活性、ヘモグロビン定量による検証を追加するか検討する必要がある。令和4年度は外部大学病院との共同実験により学内においても吸光度計によるLDH活性およびヘモグロビン定量が測定できることが解ったが本学の機器測定時のAN-MPC接触血液の吸光度係数を確認する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度もMPCの低モル分率化を検討するが同時進行として既に先行研究にて実証されたMPC:AN=7:3のポリマーを急性血液浄化膜にコーティングを行う。先行研究では断片化された平膜アクリロニトリル(PAN膜)に対するコーティングであったが本研究では実際に臨床使用されている積層型血液浄化PAN膜に対しコーティングを行い、ウサギ新鮮血にて血液灌流を実施する。灌流時間は治療時間と同じ24時間とする。同時にノンコーティングの積層型PAN膜も同様の灌流を行った後に表面観察と抗血栓性の評価を行う。確認方法としては吸光度計によるLDH活性とヘモグロビン定量観察を行う。研究の進行状況によっては次の段階としてコーティングされたことによって血液浄化膜のサイトカイン除去能力が低下していないか確認が必要である。方法としてはウサギ新鮮血にサイトカイン試薬を混入し血液浄化膜内を還流させ膜の入口部、出口、濾液のサイトカイン濃度から除去効率を計算する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった原子間力顕微鏡が販売価格高騰のため購入できなかったため外部研究所との共同委託研究に支出を切り替えた(本年度は試薬、旅費がメインとなり委託料は次年度以降に精算)。また次年度以降は、研究所への委託金、分子量・粒子径分析器や吸光度によるヘモグロビン定量、LDH装置関連の機器、分析備品に購入計画を切り替える
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