研究課題
SDラットにおけるメシル酸カモスタット(CM)投与時の体重、飲水量、尿量の変化および血液・尿生化学検査での尿濃縮に関連する各種パラメーターの変化ならびに腎組織と尿exosome中のAQP1~4の各種mRNAや蛋白発現を下記の通り検討した。6週齢雄性SDラットを (1)コントロール群 (n=5)と (2)CM投与群(n=5)の2群に分け、コントロールラットにはビークルペレットを移植し、 CM群には徐放性CMペレット(CM200mg含有)を2個皮下移植し、CMを約60mg/kg/日で投与した。CM投与群では投与開始後に食事量の減少を認め、体重が減少する傾向を認めた。初期に食事量が減少しているにもかかわらず、1日~5日目まで著明な尿量と飲水量の増加を認めた。尿量の増加は、尿中Na排泄や浸透圧物質排泄と関連を認めず、CMにより自由水排泄が亢進していると考えられた。尿細管における自由水代謝に影響する髄質浸透圧、血清K・Ca値、ADH値には変化を認めなかった。CM投与により自由水排泄亢進を認めたため、腎尿細管での代表的な水チャネルであるAQP1~4の蛋白発現を腎臓において評価したところ、CMによりAQP1の蛋白発現の増加を認めた。この現象は、多尿とは相反する結果であり、代償的な発現増加が推測された。AQP2~4には有意な変化を認めなかった。バゾプレシンによるAQP2活性化の指標と考えられている尿中エクソソームAQP2の発現を評価したところ、尿中エクソソームAQP2は1日~5日目まで、また24時間飲水制限の間も排泄が低下していた。これらのことから、CMが生理的なバソプレシンによるAQP2の活性化を障害し、自由水の排泄を亢進させていると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
2022年度の研究計画通りに実験を遂行でき、結果についても解析できている。
現在の研究計画に基づいて実験ならびに結果解析を遂行する。
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