近年の治療の進歩にもかかわらず、心不全や糖尿病を合併した慢性腎臓病は、依然としてその予後は不良である。特に、心不全と慢性腎臓病の合併は「心腎症候群」と呼ばれ、糖尿病の存在がその病態を加速させることが知られているが、その詳細は未だ完全に解明されていない。最近、糖尿病合併の心腎症候群の病態に「炎症」が中心的な役割を果たしうることが知られている。研究代表者は、糖尿病では骨髄に異常なプロインスリン産生細胞が誘導され、この細胞が腎臓に浸潤し、アンジオテンシンII産生を介して細胞障害を引き起こすことを見いだした。本研究は、慢性腎臓病の患者において、異常な骨髄由来細胞の心臓および腎臓への浸潤が、糖尿病による心腎症候群の病態に関与しているか否か、その骨髄由来細胞の特徴と腎生検の関連を評価しながら明らかにすることを目的とした。
しかし、2022年度はCOVID-19が再び猛威を振るい、入院制限の影響や、研究代表者のエフォートに大きな影響を及ぼし、症例登録が進まなかった。また、多くの候補者はCOVID-19に感染したが、COVID-19自体も、末梢血中の免疫細胞の機能に大きな影響を及ぼすため、結果の解釈が難しく、研究の遂行が困難な1年であった。
2023年4月に退職したため、研究の進展が困難であった
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