研究課題/領域番号 |
22K08360
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
庄司 哲雄 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (40271192)
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研究分担者 |
森岡 与明 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30382154)
森 克仁 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (60382040)
仲谷 慎也 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (80701325)
繪本 正憲 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90275248)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リン毒性 / 血清石灰化傾向(T50) / Calciprotein particle / フレイル / 認知機能 / コホート研究 / 透析患者 / 慢性腎臓病 |
研究実績の概要 |
令和4年度(2022年度)では次の3つゴールを設定しプロジェクトを進めた。 (1)T50値とIGF-1値測定:利用可能な保存血清を用いてT50(1668検体)、IGF-1(1662検体)の測定を完了できた。 (2)T50フレイルとの関連性の横断的解析: 全体で1696人のうちフレイル表現型を判定できない698人、T50欠測の18人、他の調整因子欠測の5人を除外した結果、解析対象は975人になった。解析対象をT50値で四分位にわけてQ4に対するフレイルを有するオッズ比を計算すると、未調整モデルではQ1で1.69 (1.18-2.41), P=0.004, Q2で1.46 (1.02-2.09), P=0.037, Q3で1.09 (0.76-1.56), P=0.648であり、T50低値でフレイルであるオッズが有意に高いことが示された。しかし、多変量モデルではT50とフレイルの間に関連性は有意でなくなり、一方、年齢、心血管既往歴、および感染症入院既往歴が有意な因子として示された。 (3)T50と認知機能の関連性の横断的解析: 認知機能(3MS)が実施され評価可能である人数は1228人で、T50欠測(16人)、調整因子欠測(3人)を除外した結果、T50と3MSの関連性の解析対象は1209人となった。解析対象をT50値で四分位にわけてQ4に対する認知機能低値(3MS<80)となるオッズ比を計算すると、未調整モデルではQ1で1.61 (1.07-2.41), P=0.021, Q2で1.43 (0.95-2.16), P=0.086, Q3で1.12 (0.73-1.71)であり、T50低値ほど認知機能低値であるオッズが有意に高いことが示された。しかし、多変量モデルではT50と認知機能低値の関連性は有意ではなくなり、一方、年齢、心血管既往歴、透析年数が有意な因子として示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に進展させることができた。次年度の解析に備えて、5年間の追跡期間におけるアウトカム情報(心総死亡、血管疾患、感染症関連事象)の整理・確定を並行して進めることができた。収集したデータのクリーニングとアウトカムの定義を行い、1696人の5年間追跡における総死亡479件、CVDイベント発生586件、CVDイベント後の死亡261件、感染症入院374件、感染症入院後の死亡179件を確定できた。そのため、次年度に予定していた解析の一部を今年度に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り次の3つのプロジェクトを推進する。 (1)T50とフレイル: CVD後の死亡、および感染症入院後の死亡というアウトカムをベースラインにおけるT50値やフレイルがどのように関連しているかを解析する。 (2)T50と認知機能: 認知機能の経年的変化を明らかにし、ベースラインのT50値との関連性を解析していく。特に、観察期間中の脳卒中の発症の有無によって層別に解析することを念頭においている。 (3)その他の解析: CVDや感染症に関連するアウトカムを予測する因子について、T50やフレイル以外の因子を予測因子とした解析を並行して実施する。本コホートで取得済みの睡眠(PSQI)、健康関連QOL(SF36)、Surprise question (SQ)などの情報を予測因子とした解析を想定している。 これらのうち、(3)の一部については本年度に繰り上げて実施している。
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次年度使用額が生じた理由 |
支出を年度内使用額の範囲内に留めたため、少額が次年度使用額として残った。次年度に適切に支出する計画である。
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