研究課題/領域番号 |
22K08361
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
川上 貴久 杏林大学, 医学部, 講師 (10722093)
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研究分担者 |
要 伸也 杏林大学, 医学部, 教授 (60224581)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 尿細管間質 / 炎症 / DAMP / HMGB1 |
研究実績の概要 |
尿細管細胞のDAMPが腎疾患の尿細管間質の炎症において炎症を促進するという仮説の下に研究を開始した.代表的なDAMPであるHMGB1を近位尿細管特異的に,かつタイミングをコントロールしてノックアウトできるマウスを,HMGB1のfloxマウスと,Ndrg1-CreERT2マウスを交配して作成し,近位尿細管細胞特異的にノックアウトされることを二重免疫蛍光染色で確認した.腎尿細管間質の無菌性炎症のモデルとして,腎機能がアウトカムとなる片側腎虚血再灌流傷害に対側の片腎摘を組み合わせたモデルを用いたところ,上記ノックアウトマウスは同胞のCreなしのコントロールマウスと比較し,予想に反して急性期の腎傷害が増悪する知見を得た. 仮説と逆の現象が起こった機序を検討するため,マウス腎を単細胞化したものから近位尿細管細胞を回収してトランスクリプトーム解析をする方針とした.FACSで同細胞を回収する方法は確立できたが,回収できた細胞数に比してRNA量が極端に少なく,FACSの物理的刺激などで細胞が傷むと考えられた.そこでMACSで回収することとし,こちらは細胞数に見合った,かつ質の問題のないRNAが抽出できることが確認でき,それを用いてn=3でマイクロアレイ解析を行った.HMGB1ノックアウト腎由来とコントロール由来で有意差のある遺伝子から,機序に関与しうる候補遺伝子を複数得ており,現在,それらについてin vitroの系で機序の解析を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス腎の無菌性炎症のモデルでは仮説と逆の結果が得られたものの,その近位尿細管のHMGB1が無菌性炎症に影響を与える機序についての解析が順調に進んでいるため.
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今後の研究の推進方策 |
トランスクリプトーム解析で得られた機序に関与しうる候補遺伝子について,in vitroの系を中心に機序の解析を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度分の残額があったため.siRNAなどやや高額な物品の購入などに使用する予定である.
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