研究分担者 |
高石 樹朗 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (10303223)
中島 英貴 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (70314995)
岡田 随象 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70727411)
佐野 栄紀 高知大学, 医学部, 特任教授 (80273621)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)K5.Stat3C マウス耳介皮膚に、0.68nmol のTPA (12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)をDay0, Day3に塗布した後、Day4に乾癬様皮疹が誘導される。今回の実験では、Day0およびDay3に、PI3K阻害薬(30mg/kg)の腹腔内投与を行った。耳介皮膚の厚さのΔ値は、コントロール群が平均0.07mmであった一方、PI3K阻害薬投与群のΔ値は平均0.02mmであり、PI3K阻害薬は乾癬様病変の皮膚肥厚誘導を有意に抑制することが明らかになった。また、PI3K阻害薬の濃度を10mg/kg、30mg/kg投与群に分けて投与したところ、10mg/kg投与群と比較して、30mg/kg投与群では、より皮膚肥厚が抑制された。また、K5.Stat3Cマウスの乾癬様病変における乾癬関連遺伝子(IL-12/23p40, IL-17A, IL-17F, IL-22, BD3,S100A8, など)の発現は、PI3K阻害薬投与群では、コントロール群と比較して有意に低下していた。以上のことより、P13K阻害薬は、乾癬の治療薬となりうる可能性が示された。
2)乾癬様表皮細胞に変化させた培養表皮細胞に対するインスリン添加実験 培養表皮細胞にTNF-α, IL-17A, IFN-γを共刺激し乾癬様表皮に変化させ、PI3K/Aktシグナルのリガンドであるインスリン添加有無によりIL-17C,β-defensin 2, IL-36γなど乾癬関連遺伝子の発現を検討したが、両群間に差異はみられなかった。すなわち、表皮角化細胞ではなく炎症・免疫細胞がPI3Kの標的となる可能性を考えてさらに詳細な解析をすすめる予定である。
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