研究実績の概要 |
乳房外パジェット病患者より樹立したがんオルガノイド(CTOS)におけるエクソソームの解析を行った。まずmicroRNAの中でmiR31-5p, miR31-3pに着目し、乳房外パジェット病由来CTOSにおけるmiR31-5pとmiR31-3pの発現をreal time PCR法を用いて測定したところ、両者ともに発現の低下がみられた。miR-31はSTAB2を抑制し、上皮間葉転換・浸潤・転移を阻害することが知られている。本研究におけるmiR-31の発現低下は、STAB2を介した上皮間葉転換・浸潤・転移の阻害作用を抑制することにつながり、乳房外パジェット病における上皮間葉転換・浸潤・転移を促進させることにつながることが示唆された。 引き続いて、表皮細胞におけるmiR31を同様にreal time PCR法を用いて測定したところ、表皮細胞ではmiR31の発現が乳房外パジェット病由来CTOSと比較して有意に高いことが明らかになった。乳房外パジェット病は上皮内癌の状態のときは周囲を表皮細胞に囲まれて存在しており、これらの周囲の表皮細胞から発現するmiR31が乳房外パジェット病の真皮への浸潤を阻害している可能性が示唆された。 次に、HaCaT細胞にmiR31-5p, miR31-3pの遺伝子を導入し、STAB2の発現を検討したところ、miR31-5pを遺伝子導入した場合、STAB2の発現は対照群と比較して有意な低下を認めたのに対し、miR31-3pでは逆に有意な増加を認めた。 今後は表皮細胞におけるmiR31、miR31の発現を調節することで浸潤のメカニズムを検討する予定である。
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