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2022 年度 実施状況報告書

白斑での色素細胞再分布の時空間解析と治療への応用研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K08409
研究機関大阪公立大学

研究代表者

片山 一朗  大阪公立大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (80191980)

研究分担者 楊 伶俐  大阪公立大学, 大学院医学研究科, 特任准教授 (40711784)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード酸化ストレス / メラノサイトニッチ / 細胞接着 / GPNMB / メラノサイト遊走因子
研究実績の概要

本年度は引き続き、基底層ケラチノサイトで発現する細胞膜蛋白の発現に関して白斑部で発現低下を示す構造 蛋白のスクリーニングを行い、メラノサイトマーカー(GPNMB、E-cadherin)、基底膜蛋白(Col17A1, Laminin V, β4-Integrin)などの免疫染色を行い、メラノサ イトマーカーであるGPNMBが基底層ケラチノサイトにも存在し、IFNγがJAK2依存性に白斑部で消失している可能性を見いだした(Sci Rep.10:1-11,2020)。この蛋白をsiRNAにてノックダウンした培養ヒトケラチノサイトはSCFの発現を増強したしたことより、メラノサイトの皮膚への遊走、ニッチへの再定着にSCFが代償性 に寄与する可能性が考えられた。我々は白斑病変部において肥満細胞 の増加を確認しており(J Dermatol Sci.99:140-143,2020)、肥満細胞由来のヒスタミンはメラノサイトのメラニン産生を増強することにより、白斑部での病理学的な変化を説明できたと考える(Exploration of Immunology.2021)。我々は低容量の紫外線照射でも治療効果が得られ、その機序としてケラチノサイトからのメラノサイト増殖に関わるSCFやET-1などの産生増強によることを明らかにした。(Int. J. Mol. Sci. 2021)。今後この系を用いて、メラノサイト遊走因子の解析を行う予定である。またSCFは真皮線維芽細胞からも産生されるが、白斑部線維芽細胞で、コラーゲンの合成とその分解酵素であるMMP2の発現が亢進していることも見いだし、従来考えられていた以上に表皮、真皮そして免疫システムのクロストークが重要な疾患であることを明らかにすること ができ、今後の白斑治療の開発に繋がると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は表皮基底層において、メラノサイトが定着し、ケラチノサイト(Basal keratinocyte)と共存する部位をニッチ(仮称)と規定し、①表基底層でのニッチの証明と白斑部でのその消失に関わる制御機構の解明②白斑病変部でのニッチへのメラノサイトの再分布に関わる表皮ケラチノサイト(あるいは他の皮膚構成細胞)からのメラノサイト由来遊走因子の同定とex vivoでの動態解析③化学物質(ロドデンドロールを使用する)誘発性新規白斑モデルモルモットを用いた治療法の評価システムの構築とニッチの回復を標的とした経皮膚的治療薬の開発を目指すことと設定している。すでに表皮基底層でのGPNMBなどの消失がニッチ消失に関わることを明らかにできたが、さらに線維芽細胞由来のMMP2が基底膜構造を変化さすことでメラノサイトの消失に関わることを明らかにした(Preprint repor.2023、①表基底層でのニッチの証明と白斑部), (Exploration of Immunology.2021)。日常診療において白斑治療に頻用される308nmの短波長紫外線療法は従来照射エネルギーに比例して治療効果が得られると考えられてきたが、我々は低容量の紫外線照射でも治療効果が得られ、その機序としてケラチノサイトからのメラノサイト増殖に関わるSCFやET-1などの産生増強によることを明らかにした。(Int. J. Mol. Sci. 2021)。今後この系を用いて、メラノサイト遊走因子の解析を行う予定である。

今後の研究の推進方策

白斑病変部でのニッチへのメラノサイトの再分布に関わる表皮ケラチノサイト(あるいは他の皮膚構成細胞)からのメラノサイト由来遊走因子の同定とex vivoでの動態解析
研究を本年度は進める予定である。現在構築できた308nmの短波長紫外線照射ケラチノサイトからのメラノサイト増殖に関わるSCFやET-1などの産生増強の実験系(Int. J. Mol. Sci. 2021)。を用いて、メラノサイト遊走因子の解析を行う予定である。また本研究の最終的な目標である化学物質(ロドデンドロールを使用する)誘発性新規白斑モデルモルモットを用いた治療法の評価システムの構築とニッチの回復を標的とした経皮膚的治療薬の開発は、黒モルモットにロドデンドロールを長期塗布することで作成した白斑モデルが確立でき(2023、5月、国際研究皮膚科学会で発表予定)、この実験系を用いて、メラノサイトの消失機序の解明とその回復に関わる治療の探索を推進していく予定である。また日常診療において重要な白斑の治療効果を評価できるバイオマーカーの検索も合わせて行っていく予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Author reply to "WNT10A variant and severe scoliosis?"2022

    • 著者名/発表者名
      Koguchi-Yoshioka H, et al. Among authors: katayama i.
    • 雑誌名

      J Dermatol.

      巻: 49 ページ: e424-e425

    • DOI

      10.1111/1346-8138.16560. Epub 2022 Aug 23.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] E)A Case of Pretibial Epidermolysis Bullosa with Novel Mutations of the COL7A1 Gene.2022

    • 著者名/発表者名
      Shimizu Y, et al. Among authors: katayama i.
    • 雑誌名

      Ann Dermatol.

      巻: 34 ページ: 81-83

    • DOI

      10.5021/ad.2022.34.1.81. Epub 2022 Jan 27.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] H)Refractory dermatomyositis which developed in a patient with silicone breast implants.2022

    • 著者名/発表者名
      Imanaka Y, et al. Among authors: katayama i.
    • 雑誌名

      Allergol Int.

      巻: 71 ページ: 158-160

    • DOI

      10.1016/j.alit.2021.07.008.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cell surface-expressed Ro52/IgG/HLA-DR complex is targeted by autoantibodies in patients with inflammatory myopathies2022

    • 著者名/発表者名
      Arase N, et al. Among authors: katayama i.
    • 雑誌名

      J Autoimmun.

      巻: 126 ページ: 102774

    • DOI

      10.1016/j.jaut.2021.102774. Epub 2021 Dec 9.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of a moisturizer containing pseudo-ceramide and a eucalyptus extract on sweating function in adult atopic dermatitis: a double-blind, randomized, controlled left-right comparison clinical trial2022

    • 著者名/発表者名
      Shindo S, et al. Among authors: katayama i.
    • 雑誌名

      J Cosmet Dermatol.

      巻: 21 ページ: 4503-4509

    • DOI

      10.1111/jocd.14923. Epub 2022 Apr 5.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Distribution of hypomelanotic macules in tuberous sclerosis complex: A retrospective cohort study2022

    • 著者名/発表者名
      Takahashi A, et al. Among authors: katayama i,
    • 雑誌名

      J Am Acad Dermatol.

      巻: 87 ページ: 237-240

    • DOI

      10.1016/j.jaad.2021.07.071. Epub 2021 Aug 8.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 尋常性白斑の病態とJAK 阻害剤を含めた標的療法の開発現状2022

    • 著者名/発表者名
      楊 伶俐
    • 雑誌名

      WHAT'S NEW in 皮膚科学

      巻: 42 ページ: 100

  • [雑誌論文] 東洋医学の白斑治療への応用2022

    • 著者名/発表者名
      楊 伶俐
    • 雑誌名

      美容皮膚医学BEAUTY

      巻: 42 ページ: 72

  • [雑誌論文] COVID-19感染症と白斑:問題となる皮膚症状とマスク着用による顔面の皮膚トラブ ルへの対応も含めて2022

    • 著者名/発表者名
      片山一朗
    • 雑誌名

      美容皮膚医学BEAUTY

      巻: 42 ページ: 87

  • [学会発表] Mast cell /JAK-STAT 軸と炎症性皮膚疾患2022

    • 著者名/発表者名
      片山一朗
    • 学会等名
      第4回日本白斑学会
  • [学会発表] 低線量エキシマライト照射によるマウスでの色素産生2022

    • 著者名/発表者名
      黒田康嵩、片山一朗一朗他
    • 学会等名
      第4回日本白斑学会
  • [学会発表] 組織反応から考える白斑のライフサイクルと治療の選択2022

    • 著者名/発表者名
      片山一朗
    • 学会等名
      第7回白斑研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 白斑、アトピー性皮膚炎、乾癬の接点2022

    • 著者名/発表者名
      片山一朗
    • 学会等名
      日本皮膚科学会高知地方会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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