研究課題/領域番号 |
22K08413
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
池田 志斈 順天堂大学, 医学部, 客員教授 (40193198)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 円形脱毛症 / CCHCR1 / モデルマウス / ステロイド / コレステロール |
研究実績の概要 |
CCHCR1KOマウスにストレスで誘導した円形脱毛症モデルマウスに対して、組織変化を確認した。昨年までに、CCHCR1バリアントを持つAA患者の臨床的特徴として、バリアントがないAA患者群と比較して、バリアント群ではステロイド治療へ反応性が優位に良好である一方、再発率が高いという特徴を見出した。過去の報告でCCHCR1遺伝子はステロイド骨格に影響を与える可能性があることが報告されているので、われわれのモデルマウスにおいても同様の結果が得られるか、検索を行った。具体的には、CCHCR1KOマウスの皮膚において、ステロイドホルモンの生成に重要なCYP11A1およびミトコンドリア膜におけるステロイドの輸送に重要な役割を果たすStAR、コレステロール代謝を制御しているABCA1に関して免疫染色を施行した。その結果、CYP11A1・StAR・ABCA1のいずれもCCHCR1KOマウスにおいてWILDマウスと比較し有意に発現の低下がみられた。 この結果は、CCHCR1KOマウスの皮膚においてはステロイド生成と輸送の機能低下があり、代謝機能も落ちていることが示唆された。すなわち、細胞内のコレステロールの欠如が、特にストレス下で毛幹の形態に影響を与えたり、ステロイドホルモンの合成を妨害したりする可能性があることを示唆していると考えられた。 さらにストレスを与えたCCHCR1KOマウスの皮膚においては毛包の数が減少していたほか、毛包周囲においてはIFN-γの発現の上昇が確認された。一般にAAの皮膚でみられるIL-15の発現は、CCHCR1Koマウスの皮膚においてはWILDマウスの皮膚と比較し有意な差はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CCHCR1ゲノム編集を用いた実験は、想定通りに進まなかったが、CCHCR1KOマウスを用いた組織検索は順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ステロイドホルモン合成障害はホメオスタシスの不均衡に影響を与える可能性があり、これが多因子疾患である円形脱毛症の発症の一因となっている可能性が考えられる。 今後は、不飽和脂肪酸含有の食餌で飼育したCCHCR1KOマウスにおける円形脱毛症発症抑制効果や皮膚における免疫学的変化を評価していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
CCHCR1ゲノム編集マウスの継代がうまくいかなかったため、その実験に使用する予定であった金額に差額が生まれた。差額に関しては2023年度に得られた知見を利用し、新たに再発予防に関しての新しい治療法を検討するために使用していく予定である。
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