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2022 年度 実施状況報告書

色素細胞から迫る新たなRASopathyの病態解明へ向けた基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K08414
研究機関大東文化大学

研究代表者

後藤 孝也  大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (80284355)

研究分担者 安田 武嗣  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主幹研究員 (60332269)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード神経線維腫症 / 細胞内情報伝達 / 色素細胞 / 神経細胞
研究実績の概要

色素細胞、神経細胞の培養上清に存在するエキソソームを超遠心法により分取し、プロテオミクスの手法を用いて解析を行った。まだ条件設定に未熟な点があるが、過去に使用した実績がある、未分化細胞を用いて、胚性幹細胞のと同様の手法でメラノサイトへの分化誘導実験の試みを実施した。これらにより、明らかになったのは、メラノサイトへの分化誘導を行う段階に置いて、分化した細胞と未分化の細胞の分取や分化導入の効率の問題から6ウェルや35mm培養皿でのスケールでは解析が難しいという点である。今の実験系のような一過性ではなく、再現性の観点からも分化した細胞を継代できる細胞として樹立することが望ましいが、そのためには分化した株を効率よく分ける手法として、薬剤マーカーが必要となる。そのために導入遺伝子の再構築が必要となるため、手間取っている。
マウス神経節細胞由来の細胞株におけるras(変異なし)の過剰発現株の単独培養においては、100mmの培養皿の10mLの培養液(10%牛胎児血清含有)4枚を細胞密度60%から100%になるまで培(2.5日間)の培養した培養上清から超遠心法でエキソソームを調整し、2次元電気泳動法で展開してエキソソーム中に含まれる蛋白質をスポットとして解析すると、想定していたより蛋白質のスポット数が少ないという意外な結果であった。現在は培養条件を変えて検討しているが、複数の異なる細胞との共培養によって解析をするまでには至っておらず、研究の全体として進捗が遅いのが現状である。コロナ禍でもあり、あたらしく細胞の入手に手間取っているのも研究の進展にとって影響を与えている。
同時に進めている神経線維腫症1型の原因遺伝子の全長cDNAの構築と発現ベクターへの再構築については、全長が2つに分かれた状態でつなぐことができているが、全長が繋がった状態の構築には至っていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

胚性幹細胞の入手をはじめ、メラノーマ由来の細胞などの入手が遅れており、またすでに入手している細胞においても、二重底での実験系で使う径35mm培養皿での最適な培養時間、培養の条件設定などが不十分な状況である。問題点はφ35mmの培養皿で得られる一過性の発現系の解析では十分なエキソソームが得られていない点である。一過性の発現系においては、一度の遺伝子導入効率の限界があるためであるが、コントロール細胞とのディファレンシャル解析に置いて、二次元電気泳動で展開した結果で異なるスポットとして判定可能であると当初想定したが、得られるスポットが小さいと、蛍光を用いても判定が難しいことが判明した。この問題を解決するためには、一過性ではなく、恒常的に発現する細胞株を得ることが必要となるが、現時点ではまだ得られていない。
原因遺伝子のヒトcDNAの全長の遺伝子を1つのクローニングベクターに組換えることも実施している。これはマーカーとなるタグ(GFP、FLAGなど)をつけた発現系との蛋白質の影響を検索する目的であり、加えて、現在使用している細胞はマウス由来であるため、種を変えることで発現の判別などを可能とさせる目的も持っている。神経線維腫症の原因遺伝(NF1)のcDNAは、全長が約9,000塩基対にわたるため、検討しなければならない点が多く、現在2つの断片として得られているのみである。
共同研究先の研究も、こちらの研究の進展の遅延により解析用のサンプルの提供が滞っており、進んでいないのが現状である。

今後の研究の推進方策

現状の問題点でも記載したが、細胞株を新たに確立させようとした場合、細胞に選択マーカーである抗生剤耐性の遺伝子を導入し、その耐性薬剤の選択培地で株化を試みるのが一般的な方法である。そのため、薬剤マーカーを含むプラスミドを構築し、それを親株となる細胞に導入して選択していかなければならない。そのためのベクター作り、選択培地の抗生剤の選択に要する濃度や培養方法など検討する課題が多く存在する。特にベクターの構築は限られた制限酵素切断部位を使ってのベクター構築が一つの課題となる。

次年度使用額が生じた理由

細胞の培養の条件検討などを行うにあたり、検討する項目が多く、使う薬剤などを新規に購入する必要がない点や検討する条件の設定に手間取っており、薬剤の使用期限を考慮すると購入しないほうが良いと判断したため。今後は培養条件を決定してスケールを増大させる等で進めていく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] DNA二重鎖切断におけるヒトRAD52の蛋白質のDNA結合部位の機能的区別2022

    • 著者名/発表者名
      中村菜花子、香川亘、谷中智子、後藤孝也、中沢由華、荻朋男、田嶋克史、安田武嗣
    • 学会等名
      日本分子生物学会
  • [学会発表] ヒトは重水の中では生きられない:量子効果の大きな影響2022

    • 著者名/発表者名
      安田武嗣、中島菜花子、荻朋男、谷中智子、後藤孝也、田嶋克史
    • 学会等名
      日本遺伝学会

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公開日: 2023-12-25  

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