研究課題
エクリン汗腺は皮膚表面に水分を分泌することで、その水分の蒸発熱を利用して体表から余分な熱を取り除く、ヒト特異的な体温冷却器官である。しかし、汗運搬メカニズムについて未だ明らかになっていない。エクリン汗腺は筋上皮細胞に囲まれているため、収縮するであろうと考えられている。これまでに研究代表者は、複雑なコイル構造を維持した状態でのエクリン汗腺サンプルを用い、生体標識法とライブ観察技術を組み合わせることで、汗腺の収縮を実証した。さらに、確立したライブ観察法と受容細胞の可視化法を組み合わせることで、汗腺の収縮メカニズムをより詳細に明らかにすることを目指した。特に、発汗を誘発するアセチルコリンの受容体に着目し、汗腺における受容体の発現箇所についてRNAの定量分析をおこなった。ライブ観察で使用できる受容細胞の標識プローブの開発に着手した。
2: おおむね順調に進展している
これまでに明らかにしてきたエクリン汗腺の発汗時の運搬メカニズムについて国際誌にて、報告を行った。さらに本研究で取り組んでいる抗M1-VHH抗体および、抗M3-VHH抗体を用いた生体標識法についても、観察データを集積中である。そのため計画は順調に進捗していると判断した。
引き続き、受容体発現細胞に着目しライブ観察を行うことで収縮の伝播様式など動態を観察する。と同時に、無汗症患者由来の汗腺のマルチカラーイメージングを同様に行い、分泌管のCa2+応答性も併せて観察し、無汗原因についてAChに対する応答性という視点から病態メカニズムに迫る。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Communications Biology
巻: 6 ページ: -
10.1038/s42003-023-05557-9
IFSCC magazine
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