研究課題/領域番号 |
22K08440
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 友章 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70398767)
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研究分担者 |
原田 和俊 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (20324197)
沼田 貴史 東京医科大学, 医学部, 助教 (90791806)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / TSLP / イマチニブ / MC903 / ERK / IL-33 / チロシンキナーゼ阻害薬 |
研究実績の概要 |
我々は、アトピー性皮膚炎(以下AD)の病態に肥満細胞が大きく関わっている事を、in vitro 研究で報告してきた。ADの皮膚内に存在している樹状細胞にはIgE受容体が発現しているが、転写因子PU.1により肥満細胞が樹状細胞様細胞に変化したことを報告した(Ito, et al. J Immunol, 2005.)。さらに、肥満細胞にIL-33を長期間刺激すると抗原提示能を持ち、転写因子PU.1が発現増強することを見出した。アトピー性皮膚炎の病態には肥満細胞が大きく関わっている。肥満細胞活性化抑制が治療薬になりうるとの仮説を提唱し、c-kit蛋白阻害剤であるBcr-Ablチロシンキナーゼ阻害薬でAD治療薬の開発をしてきた。 その結果、イマチニブをADモデルマウスに塗布すると皮膚症状が改善する事を発見した。詳細に検討すると肥満細胞数の減少と、表皮細胞内TSLP発現が低下していた。Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害薬はイマチニブをはじめ、イマチニブ耐性薬剤など多数ある。Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害薬が、表皮細胞に影響するシグナル伝達機序を解明し、どの種類のBcr-Ablチロシンキナーゼ阻害薬がAD治療に安全かつ効果的か検討する。ドラッグリポジショニングによる新しい作用機序でAD治療薬をめざす。 その結果、in vivo では、イマチニブによりTh2サイトカインの低下、血管透過性の抑制を認めたため、リンパ球浸潤が低下した。in vitoro ではマウスケラチノサイトをもちいて、ADと同じ状態にし、イマチニブを塗布後にTSLPの低下をみとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
MC903塗布後にアトピー性皮膚炎モデルマウスができる。その後に、イマチニブを塗布すると、皮疹が改善した。Th2サイトカインが低下し、血管透過性も低下したため、リンパ球浸潤が抑制された。皮膚組織は、免疫組織で確認した。 in vitoro では、マウスケラチノサイトにIL-4とTNF-αを添加するとアトピー性皮膚炎のケラチノサイトになる。そこにイマチニブを添加すると、TSLPがmRNAとタンパクレベルで低下していた。シグナル伝達の確認では、ERKが抑制されていた。 以上のことより、表皮内では、ERKが抑制され、真皮内では、血管透過性が抑制されるために、アトピー性皮膚炎が改善する事がわかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、イマチニブ外用剤が実用化されるため、希釈し安全性と有効性を確認し適正濃度を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね計画通りに使用している。次年度使用額は消耗品などの購入に充当する計画である。
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