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2022 年度 実施状況報告書

RIG-I作動性核酸(3pRNA)の白血病治療応用に向けた基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K08445
研究機関北海道大学

研究代表者

石川 浩三  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 客員研究員 (20624795)

研究分担者 佐藤 精一  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (60459724)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード3pRNA / RIG-I / p53
研究実績の概要

代表的抗ウイルス免疫分子であるRIG-I(Retinoic acid-inducible gene-1)は、自然免疫機構に則りType1 IFN産生にはたらくが、一方で、様々ながん細胞において、RIG-I自身がその合成リガンドである5’-triphosphate RNA(3pRNA)により、アポトーシスを誘導することがin vitro、in vivo系にて報告されている。それに関連し、RIG-IはTumor suppressorとして潜在的な抗腫瘍分子として近年注目されてきた(Xian-Yang Li, Mol Cell Oncol, 2014), (Guangyi Y, Oncology letter, 2019),(Diana R E, Oncotarget, 2016)。これまで、我々は先行研究にて、3pRNA 刺激によりRIG-IがI型IFN産生非依存性にp53活性化を起こし、多種の上皮細胞、非上皮細胞のがん細胞死を誘導し、同系列の3種類の正常細胞では細胞死発現が優位に乏しいという実験データを得た。そこで、RIG-Iが上皮系、非上皮系のがん細胞において正常細胞と相違する共通的特徴があると仮定して検証を進めたところ、がん細胞において、核内分子Xの細胞質内局在性が存在し、RIG-Iとの結合、さらにp53への移送を介して、Caspase3開裂および細胞死をきたすことを示唆する所見を得た(未発表)。そのため、正常細胞へ障害の少ない新規の抗腫瘍治療の開発に向けた見解を得られる可能性がある。次に、上記の3pRNAによる抗腫瘍作用がINF産生や獲得免疫系を介さない可能性を示すため行った担癌ヌードマウス(A549移植)を用いたin vivo実験においては、CD8中和抗体投与下で3pRNAが腫瘍退縮を示した。
今回、上記の系統と異なる血液系腫瘍細胞(独立円形細胞)における上記の機序を示すため、2022年度に細胞培養系、In vivo系における上記の実験を計画し進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では慢性骨髄性白血病の急性転化に頻発する抗がん剤耐性に陥った場合に、核酸刺激薬によるRLR機序を介した細胞死誘導による殺腫瘍薬の開発として進めている。白血病細胞の抗がん剤耐性機序には、RUNX1-p53-CBFBフィードバックループ、P38α(p53抑制分子)遺伝子発現、遺伝子のmethylation、histoneのアセチル化が古くから知られている。
昨年度、がん細胞株での3pRNAによる細胞死誘導効果を各種造血系悪性腫瘍細胞株に実施した。その結果、Hunt7(Tリンパ腫)、BJAB(バーキットリンパ腫B細胞)、MonoMac6(急性単球性白血病)、JurKat(T細胞型リンパ腫)、K562(慢性リンパ芽球性白血病)、U937(組織球性リンパ腫)細胞株で24時間後の早期アポトーシス発現はMonoMac6を除いてすべて25%以下であったため、細胞死誘導シグナルを阻害する分子生物学的要因さらに骨髄性白血病の起源種における相違の探索を現在進めており、当初予定していたモデル動物を用いたIn vivo実験に進めることが出来ていない。

今後の研究の推進方策

骨髄性白血病には、各種起源(リンパ芽球、単芽球、骨髄球)が存在し、さらに急性白血病および慢性白血病の抗がん剤や分子標的薬への感受性、p53発現の相違、臨床的挙動の相違が存在する。そのため、本年度は、細胞内シグナル分子の相違やp53抑制性システムの相違を探索し、さらに、3pRNA刺激に対する応答性(RIG-Iおよび分子Xの細胞質内局在や輸送経路)を詳細に調査する。

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公開日: 2023-12-25  

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