研究課題/領域番号 |
22K08454
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
宮城 聡 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (20400997)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 造血幹細胞 / クロマチンタンパク質 / 白血病 |
研究実績の概要 |
PHD finger protein 6 (PHF6) 遺伝子の高頻度の機能欠失型変異が種々の造血器腫瘍で報告されている。我々は、Phf6がストレス造血時の造血幹細胞 (Hematopoietic stem cell; HSC) の機能抑制に働き、その欠損が HSC に競合優位性を付与することを報告した。我々は、PHF6の翻訳後修飾を介した機能制御を明らかにするために、BioID (proximity-dependent biotin identification)を行い、PHF6会合分子としてPHIPを同定した。PHIPはCullin-RING ligases 複合体 (CRLc) の基質受容体であり、モノユビキチン化を介してPHF6のクロマチンへのリクルートに関与する可能性が示唆される。本研究では、Phipの造血組織における機能解析を行うために、造血細胞特異的なPhip遺伝子欠損マウス(Vav1-iCre; Phipf/f )を作成し、機能解析を行う。 2-3ヶ月齢Vav1-iCre; Phipf/f の造血組織をフローサイトメトリー (FCM) により解析した結果、明らかな造血異常は認められなかった。次に、長期間観察を行い、生後6ヶ月以降に進行性に血小板減少と脾腫が観察された。さらに、明らかな白血病は認められないものの、約20%のVav1-iCre; Phipf/f が7から18ヶ月齢の間に死亡した。FCM解析の結果、骨髄と脾臓では造血幹・前駆細胞の増幅が認められた。これらの結果は、PHIP遺伝子の機能喪失が白血病発症に関与する可能性を示唆する。 一方で、PHIP欠損がK562細胞の巨核球分化を著しく促進することを見出した。今後、この系を用いてPHIP遺伝子の分子レベルでの機能解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Vav1-iCre; Phipf/f の表現系解析は順調に進行している。PHF6のユビキチン化部位の同定に関しては、現在進行中であり、まだ、同定できていない。今年度の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
Vav1-iCre; Phipf/f では、進行性に造血幹・前駆細胞の増幅と脾腫が認められた。今後、この造血幹・前駆細胞の性質(骨髄再構築能を有する造血幹細胞か?分化能や増殖能が制限された前駆細胞か?) を、コロニーアッセイ、骨髄移植実験、RNA sequenceにより検証する。また、質量分析によりPHF6のユビキチン化部位の同定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
端数が少額のため、使用できなかった。今年度予算と合わせて使用予定。
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