研究課題/領域番号 |
22K08461
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
松本 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60316081)
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研究分担者 |
早川 正樹 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30516729) [辞退]
久保 政之 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (40646080)
山田 真也 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (50927803) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 血栓性血小板減少性紫斑病 / 動物疾患モデル |
研究実績の概要 |
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)には先天性と後天性があり、後天性TTPはADAMTS13に対する自己抗体が産生されることで発症する致死的血栓症である。無治療の場合は90%以上の症例が死亡するが、血漿交換を実施することで80%以上の生存が得られるようになった。我々の日本人での集計では、1年生存率が84%であるが、逆に16%の症例が1年以内に死亡していることになる。さらに生存率を上げるために新規薬剤の開発が望まれるが、後天性TTPの治療薬開発のための動物疾患モデルがほとんど存在しなかった。本研究では、小動物モデルとしてマウスモデルを確立すること、大型動物モデルとして我々が作成した抗ADAMTS13モノクローナル抗体A10(特許第4533995号)を用いてカニクイザルモデルを作成することを計画している。マウスモデルを開発する目的は、簡便に安い経費で実験を実施できるようにすることである。サルモデルを作成する目的は、小動物から人間に近い動物種で効果と副作用を確認することである。 令和4年度は、マウスADAMTS13のタンパク質発現に関して、ヒトADAMTS13と同様の方法でHEK293細胞を用いて行った。ただし、タンパク質の発現量が実験に使用できるほど十分でなく、発現細胞を変更するなどの検討を行っている。また、使用するADAMTS13ノックアウトマウスとワイルドタイプマウスの飼育を行い、実験に必要なマウス数は準備可能となった。カニクイザルの実験に関して、多量のA10抗体が必要となる。また、投与後可能な限り長期観察を行う必要なので、無菌的な抗体を準備する必要がある。他の研究でGLPグレードのヒト化A10を多量に準備しており、実験に使用する量の確保は可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスADAMTS13の発現が手技的に上手くいっていない。 サルの実験で使用するカニクイザルの輸入が、新型コロナの影響などにより困難な状況である。
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今後の研究の推進方策 |
マウスADAMTS13タンパク質が準備できれば、速やかにADAMTS13ノックアウトマウスに免疫する。まず、抗マウスADAMTS13モノクローナル抗体を作成するため免疫したマウスから脾臓を摘出し、hybridomaを作成する。その後、hybridomaからモノクローナル抗体を作成する。サル実験に関しては、カニクイザルが準備できるかどうかが問題となる。投与するA10抗体が十分量準備できるめどがたっているので、100 ug/mL以上のできるだけ多くのA10を投与し、TTPを発症する量を明らかにする。
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