研究課題
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)患者で血液検体を収集し、分離された新鮮血漿を用いてHTLV-1 cell-free DNA(HTLV-1 cfDNA)の定量検査をddPCRにて実施した。末梢血中に異常リンパ球が出現していないリンパ腫型においてHTLV-1 cfDNAは最も高値であった。他の末梢性T細胞リンパ腫との鑑別が困難であった症例ではHTLV-1 cfDNAは低値を示し、サザンブロッティングでもモノクローナルな取り込みは認めなった。また、くすぶり型ATLで可溶性IL-2レセプター(sIL-2R)が上昇し、腋窩リンパ節腫脹を認めアグレッシブATLへの進行を疑われたが、生検では反応性リンパ節炎と診断された症例では、HTLV-1 cfDNAは上昇していなかった。また、HTLV-1 cfDNAとATLの他のバイオマーカーとの関連では、sIL-2R(r=0.773)と血清LDH(r=0.439)とは強い相関を示した。これらの結果よりHTLV-1 cfDNA定量はHTLV-1キャリアからの発症予測やATLの病勢を強く反映する指標であることを示した。以上の内容を学会報告、論文報告を行った。
2: おおむね順調に進展している
学会報告、Letterとして論文報告を行った。
多施設共同研究として、症例数を蓄積している。HTLV-1 cell-free DNAが微小残存病変の検出方法としての有効性を評価する。
学会参加費を計上しなかったたため次年度使用額が生じた。次年度も学会での報告を予定しており予算を使用する。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
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