研究課題/領域番号 |
22K08515
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
李 ヨキン 日本大学, 医学部, 准教授 (30599048)
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研究分担者 |
三角 浩司 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (00442682)
野地 智法 東北大学, 農学研究科, 教授 (10708001)
大西 彰 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (30414890)
板野 理 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (90265827)
淵本 大一郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, グループ長補佐 (10343998)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 大動物実験 / ヒト化動物 / 造血幹細胞 |
研究実績の概要 |
免疫機能正常なIL2rgヘテロノックアウトメスブタの発情時期に合わせて野生型ブタの精子を用いて人工授精を行った。授精成功確率を高めるため、発情が確認された後、3日間連続で授精を実施した。人工授精後30日に、超音波を用いて妊娠鑑定を行い、妊娠を確認した。妊娠6週齢に深麻酔下での母ブタを開腹し、超音波を用いて子宮の上から胎児を観察しながらすべての胎児の肝臓に解凍したヒト臍帯血細胞を注入した。 誕生した仔ブタを個体識別するため、耳刻みを実施し、得られた耳小片より遺伝子型を確認した。IL2rg欠損仔ブタ、コントロール群としたオス野生型仔ブタから、血液、骨髄、肝臓、脾臓などの組織を採取し、ヒト特異的遺伝子またはフローサイトメトリー (FACS)を用いてヒト由来細胞を検出した。さらに各内臓を固定し、免疫染色を用いてヒト由来細胞の分布などを観察した。 ヒト臍帯血細胞を移植したIL2rg欠損ブタでは、末梢血、脾臓、腎臓、および萎縮した胸腺にヒト特異的遺伝子(Alu)が検出された。末梢血のFACS解析では、白血球の約1%にヒトCD45+細胞であることが判明した。さらに、脾臓の細胞の約12%にCD45 + , HLA-ABC +のヒト血液細胞であることが判明した。組織学的には肝臓、脾臓、肺臓において、ヒト由来細胞はリンパ濾胞のようなクラスター形成が認められた。また低形成の胸腺組織には数多くのヒト由来細胞が生着していることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、研究分担者から2ヶ月齢のIL2rgヘテロノックアウトメスブタを譲り受け、自施設で飼育した。8ヶ月齢になったメスブタは、発情兆候が順調に観察され、発情に合わせて野生型ブタの精子を用いて人工授精を行った。人工授精後30日目の超音波検査で妊娠が確認されたため、妊娠45日にすべての胎児の肝臓へヒト臍帯血単核細胞を移植した。妊娠114日に分娩兆候が見られなかったため、プラネート(PGF2αの類縁体)2mlを筋注し、その後無事に分娩が進んだ。仔豚が生まれた後、血液、骨髄、内臓などを採取し、PCR、FACS、および組織学的に解析を行った。 メスブタの飼育、人工授精、妊娠検定、細胞移植手術、出産といった一連の実験は予定通りに進めることができ、全体的に順調に進捗していた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度にヒト臍帯血単核細胞をブタ胎児の肝臓に移植したが、移植された細胞数は3x10^5/頭であり、そのうち造血幹細胞であるCD34陽性細胞数はわずか600個と推定された。より多くの造血幹細胞を移植するために、臍帯血単核細胞からCD34陽性細胞を分離し、CD34陽性細胞を胎児の肝臓に移植する予定である。臍帯血バックには25mlの臍帯血があり、合計で約1×10^9の単核細胞が予想される。単核細胞のうち約0.2%がCD34陽性の前駆細胞であるため、臍帯血バックから約2 x 10^6個のCD34陽性細胞が分離されると推定される。1~3 x10^5/頭のCD34陽性細胞を移植することで、より高いキメラ率のヒト化ブタを作成できることが期待される。 ヒト由来細胞の生着とブタ体内でのヒトの造血機能や免疫機能を観察するために、経時的に(生後1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月)血液採取、骨髄採取、および解剖を行う。各内臓や免疫組織におけるヒト由来細胞の分布、ブタ体内に構築された免疫組織におけるヒト由来細胞の割合、ヒト幹細胞から派生した各種細胞の各組織への移出などを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者の研究においては、新型コロナの影響で輸入は滞っていて、希望した試薬と用品等は入手できなかったため残額が生じた。次年度は試薬と用品購入に使用する。
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