研究課題
抗MDA5(CADM-140)抗体陽性皮膚筋炎(DM)は、多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)の中でも最も予後不良な一群であり、治療抵抗性の急速進行性間質性肺炎(RP-ILD)を高率に合併し短期間で死亡する率が高い。本疾患には多剤併用による強力な免疫抑制治療を行うことで救命率が改善しうるが、未だ救命率は十分ではなく、新しい治療法の開発が望まれている。しかし、本疾患の治療法開発の障壁となっているのが、適切なモデルマウスが未だ存在しないということである。そこで、抗MDA5抗体陽性ILDモデルマウスを構築するため、ヒトにおける病態で認めれる①Ⅰ型インターフェロン(IFN)の亢進、②間質性肺炎③抗MDA5抗体産生、の3つの条件を満たすモデルマウスの樹立を目的とした。方法はC57BL/6(B6マウス)、B6/SKGマウス、B6.Foxp3 DTRマウスを対象に、polyI:Cの慢性反復刺激(皮下注射/吸入)を行い、interferonopathyを慢性に惹起しつつ、自己免疫背景のあるマウスにおいて自己抗体産生が誘導されるかを検証した。polyI:Cの反復吸入によりいずれのマウス種においても急性の肺障害を認めたがB6/SKGマウスでは刺激終了1週間後も線維化を伴う肺障害が残存した。一方、抗MDA5抗体の産生については一部のマウスでのみ産生が認められた。安定した抗MDA5抗体の産生を誘導するためヒトMDA5蛋白による免疫を併用し研究を進めている。
2: おおむね順調に進展している
今年度予定されていた研究は、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎モデルマウスのプルトコール樹立である。概ね、①Ⅰ型インターフェロン(IFN)の亢進、②間質性肺炎③抗MDA5抗体産生の3条件を満たすためのプトロコール開発は終えており、病態の解析へと進んでいる。
抗MDA5抗体陽性DM-ILDモデルマウスから皮膚および肺を採取し、フローサイトメトリーによる細胞学的検討を行う。また病理組織学的にもマルチスペクトルイメージング(Mantraシステム)を用いた解析を行う。
コロナ禍において学会参加がWeb参加となったため、旅費が大幅に削減された。また、研究試薬物品の購入にあたり、入荷搬入遅れが多く、試薬購入が次年度に持ち越されたため、当初予定支出金額より低い支出となった。翌年度(2023年度)は学会現地参加が多く見込まれ、2022年度に購入を希望していた試薬の購入が可能となるため、残額は2023年度に使用予定である。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
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