研究課題/領域番号 |
22K08521
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中嶋 蘭 (笹井蘭) 京都大学, 医学研究科, 助教 (10599525)
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研究分担者 |
佐藤 篤靖 京都大学, 医学研究科, 講師 (30706677)
橋本 求 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (60512845)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 間質性肺炎 / 皮膚筋炎 / 抗MDA5抗体 / モデルマウス |
研究実績の概要 |
抗MDA5(CADM-140)抗体陽性皮膚筋炎(DM)は、多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)の中でも最も予後不良な一群であり、治療抵抗性の急速進行性間質性肺炎(RP-ILD)を高率に合併し短期間で死亡する率が高い。本疾患には多剤併用による強力な免疫抑制治療を行うことで救命率が改善しうるが、未だ救命率は十分ではなく、新しい治療法の開発が望まれている。しかし、本疾患の治療法開発の障壁となっているのが、適切なモデルマウスが未だ存在しないということである。そこで、抗MDA5抗体陽性ILDモデルマウスを構築するため、ヒトにおける病態で認めれる①Ⅰ型インターフェロン(IFN)の亢進、②間質性肺炎③抗MDA5抗体産生、の3つの条件を満たすモデルマウスの樹立を目的とした。 方法はC57BL/6(B6マウス)を対象に、MDA5蛋白による免疫を行い、抗MDA5抗体を惹起しつつ、polyI:Cの慢性反復刺激(皮下注射/吸入)を行い、interferonopathyの存在下における肺障害を観察した。 MDA5免疫+poly I:C吸入刺激をしたB6/SKGマウスではコントロールマウスに比べて激しい炎症細胞浸潤を認める肺障害を生じた。抗MDA5抗体の産生もMDA5免疫+poly I:C吸入刺激で高力価で確認された。また肺におけるinterferon誘導性遺伝子の発現増強を確認し、モデルマウスを目的通り樹立できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通り 抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎モデルマウスのプルトコールが確立したため、抗MDA5抗体存在下における肺障害惹起の病態解析へと進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
抗MDA5抗体陽性DM-ILDモデルマウスの肺を用いたトランスクリプトーム解析を進捗中である。また各種ノックアウトマウスを用いたモデル実験を行い、病態に影響を及ぼす鍵となる細胞・分子の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度(2023年度)のマウス飼育数が予定より少ない数で順調に実験結果を得ることができたため、飼育費用が安くついた。次年度(2024年度)において複数の条件の遺伝子改変マウスを用いた実験を行う予定であり、マウス飼育数が約2倍に増えるため、飼育費用が増額する見込みである。また、2024年度はモデルマウスの組織におけるトランスクリプト―ム解析を行う予定であり、遺伝子解析試薬にも助成金を使用する予定である。
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