研究課題/領域番号 |
22K08543
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
三苫 弘喜 九州大学, 大学病院, 助教 (60467909)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 制御性T細胞 / 濾胞性T細胞 / TNF2型受容体 / メモリーB細胞 / 関節リウマチ |
研究実績の概要 |
アッセイ系の樹立;末梢血液および滑液から表面マーカーに対する抗体を用いて濾胞性ヘルパーT細胞細胞(Tph; CD4+PD-1hiCXCR5-), 抑制性T細胞(Treg; CXCR5-CD25highCD127lowCD4+CD14-),濾胞性抑制性T細胞 (Tfr; CXCR5+CD25highCD127lowCD4+CD14-), メモリーB細胞(memory B; CD19+CD27+IgD-CD38lowCD14-)をflowcytometryで細胞単離した。Tph細胞に対する抑制アッセイとして、CD3/CD28刺激あるいは無刺激のTreg/Tfr細胞とCD3/CD28刺激したTph細胞を共培養し、Tph細胞の細胞増殖、CXCL13およびIL-21の産生をflowcytometryで解析した。さらにmemory B細胞に対する抑制アッセイとして、CD3/CD28刺激あるいは無刺激のTreg/Tfr細胞とCD3/CD28刺激したTph細胞とmemory B細胞をsuperantigenであるStaphylococcal enterotoxin B (SEB)存在下に共培養した。Memory B細胞の増殖をflowcytometryで、IgG、IgMの産生をELISA法で測定した。末梢血液でも滑液でもCD3/CD28刺激したTreg細胞、Tfr細胞はTph細胞に対する細胞増殖抑効果、サイトカイン・ケモカイン産生抑制効果を示した。さらにCD3/CD28刺激したTreg細胞、Tfr細胞はTph細胞存在下のmemory B細胞に対する細胞増殖、抗体産生抑制効果を示した。これらの系を用いて関節リウマチにおけるTregおよびTfrの抑制能の評価ができると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アッセイ系を樹立するのに条件検討を繰り返した。特にSEBの濃度と共培養する細胞の細胞数と比率の設定に時間を要した。さらに末梢血液、滑液中ともmemory B細胞の数が少なく、複数の条件設定をする細胞数を得ることが困難であった。そのため患者検体で解析する場合、IgMの分泌など評価項目を1点に絞る必要があると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
1) 関節リウマチ症例の末梢血液および滑液中のTph細胞、memory B細胞に対するTreg/Tfr細胞の抑制能の検討;a) 関節リウマチおよび変形性関節症の末梢血液、滑液中の各細胞分画の分離、b) Treg/Tfr細胞とTph細胞との共培養によるTph細胞の抑制アッセイ、c) Treg/Tfr細胞とTph細胞とmemory B細胞の共培養によるmemory B細胞の抑制アッセイ 2) 滑液Treg/Tfr細胞の質的解析;関節リウマチおよび変形性関節症のTreg細胞およびTfr細胞をcell sortingし、無刺激の状態でRNAを抽出する。RNA seqで遺伝子発現パターンを比較検討する。 3) 関節リウマチ滑液がTreg/Tfr細胞の抑制能に与える影響; a) 関節リウマチまたは変形性関節症の滑液存在下に末梢血Treg/Tfr細胞を培養する。b) 培養したTreg/Tfr細胞の抑制の解析: CD3/CD28刺激後のTreg/Tfr細胞の細胞増殖、Foxp3の発現をflowcytometryで解析し、さらにTphに対する抑制能を比較検討する。 c) 関節リウマチと変形性関節症の滑液の比較検討: 関節リウマチと変形性関節症の滑液中のサイトカイン、ケモカイン等をmultiplexで測定する。 4) 滑液Treg/Tfr細胞の刺激による抑制能の評価; a) 滑液のTreg/Tfr細胞の刺激: 滑液のTreg/Tfr細胞をcell sortingし、TNF2型受容体刺激 (anti-TNFR2 mAb, 膜型TNF発現細胞)、 Rapamycin、およびTNF2型受容体刺激+Rapamycinで処理する。b) 刺激したTreg/Tfr細胞の抑制能の評価: Treg/Tfr細胞の細胞増殖、Foxp3の発現をflowcytometryで解析し、さらにTphに対する抑制能を比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
アッセイ系を樹立するのに条件検討を繰り返した。さらに末梢血液、滑液中ともmemory B細胞の数が少なく、複数の条件設定をする細胞数を得ることが困難であった。そのため患者検体で解析する場合、IgMの分泌など評価項目を1点に絞る必要があると考えられた。今後例数を増やし、さらに患者検体の解析をすすめる予定で、抗体やフローサイトメトリー関連試薬に使用する計画である。
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