研究課題/領域番号 |
22K08548
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
宮坂 智充 東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (50709912)
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研究分担者 |
大野 勲 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (00250762)
関 政幸 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (70202140)
田中 宏幸 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (70264695)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / 性差医学 / 気道上皮細胞 / 免疫記憶 / IL-33 |
研究実績の概要 |
気管支喘息は、成人男性に比べて成人女性で有病率ならびに重症度が高いがその機序は不明である。ダニ抗原誘発型喘息モデルマウスを用いたこれまでの検討から、複数回のアレルゲン曝露後の気道上皮細胞において観察される早期のIL-33mRNA転写亢進が女性の喘息重症化の根本原因である可能性が示唆された。本研究では、免疫記憶に着目して気道上皮組織においてIL-33mRNAの性差が生まれるメカニズムを解明し、喘息病態の形成と維持におけるそれらの関与を解明することを目的として研究を実施した。本年度はまず、気道上皮細胞における免疫記憶と喘息病態の関連を解析するために最適な喘息モデルマウスの確立を試みた。ダニ抗原誘発喘息モデルマウスにおいて喘息反応(気管支肺胞洗浄液中好酸球、粘液産生、血清中IgE産生Th2サイトカイン産生、上皮由来サイトカイン産生)の性差が明らかとなった。さらにIL-33受容体抗体を気管内に投与することにより、喘息反応の性差が消失したことから、気道上皮細胞に由来するIL-33mRNA産生量の性差発現が喘息反応の性差に関与している可能性が示唆された。次に、抗原曝露の回数や期間を変化させることによって、これまでに観察されたIL-33mRNA産生量の性差がどのように変化するか観察したところ、IL-33mRNA産生の性差出現には連続した複数回の抗原曝露が重要である可能性が示唆された。さらに、IL-33mRNA産生量の性差は、抗原に曝露しない期間が長期に及んだ場合に消失する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析に適した喘息モデルマウスを確立することができた。加えて、気道上皮細胞における免疫応答の性差と抗原曝露の回数や期間との関連を明らかにすることができた。さらに、気道上皮細胞における免疫応答が短期的な喘息反応および長期的な喘息反応に対して与える影響について示唆的なデータを得ることができ、次年度以降の研究方針を決めるために重要な知見を得ることが出来た。しかしながら、気道上皮細胞における免疫記憶を解明するための分子生物学検討を行うまでには至らなかったことから、その点を含めて次年度の解析を行いたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に解析できなかった気道上皮細胞の免疫記憶における細胞生物学的検討を速やかに実施したいと考えている。加えて、抗原曝露の回数や期間がIL-33mRNAの性差の記憶に及ぼす影響を解明する予定である。加えて、免疫記憶の性差の消失と喘息病態の性差の消失の関連性を明らかにするための検討を行っていく予定である。加えて、喘息を誘導する抗原(ダニ抗原)とは別の抗原をあらかじめ投与し、その後のダニ抗原に対する気道上皮細胞の免疫応答を解析していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
気道上皮細胞の免疫記憶の解析において、本年度に実施予定だった分子生物学的検討に用いるための物品費ならびに解析費を次年度に繰り越して使用する予定である。
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