研究課題/領域番号 |
22K08558
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
古田 俊介 千葉大学, 医学部附属病院, 特任講師 (10422221)
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研究分担者 |
中島 裕史 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00322024)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | マンノース受容体 / マクロファージ / 大血管炎 |
研究実績の概要 |
高安動脈炎(TAK)/巨細胞性動脈炎(GCA)は大型血管(大動脈とその一次分岐)を炎症の主座とする大血管炎である。近年、IL-6などを標的とした生物製剤の臨床応用により一部の患者の予後は改善されたが、依然として治療抵抗性の難治例が存在し、動脈の閉塞、拡張などの不可逆的な変化をきたし予後不良である。造影CTやPET-CT、血管造影検査などの画像検 査以外に大血管炎の活動性を正確に評価する特異的指標がないのも臨床上大きな問題となっている。 近年、マンノース受容体(MMR)を発現しているマクロファージが大血管炎の炎症局所に集積していることが報告されたが、大血管炎におけるMMR陽性マクロファージの役割は依然不明である。本研究では、MMR陽性マクロファージがPlatelet Factor 4 (PF4)とMatrix Metalloproteinase 12 (MMP12)をはじめとする起炎症蛋白を産生するという独自データをもとに、マウスモデルを用いてMMR陽性マクロファージの大血管炎の病態形成における役割を明らかにすることで、MMR陽性マクロファージを標的とした大血管炎の新規治療法開発のための基盤を構築する。同時にMMR陽性マクロファージが産生する分泌蛋白に注目し、大血管炎に特異的な新規活動性マーカーを同定する。現在、マウスを用いたLactobacillus caseiの細胞壁抽出物(LCWE) 誘導性大血管炎モデルのセットアップを行なっている。また、公開されている大動脈炎患者検体を用いたscRNAデータの解析を行い、炎症部位や末梢血中におけるMMR陽性マクロファージを解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度申請者は、マウスを用いたLactobacillus caseiの細胞壁抽出物(LCWE) 誘導性大血管炎モデルのセットアップを行なっている。LCWE 250μgを4-5週齢のマウス腹腔内に投与すると14日後に大動脈への炎症細胞浸潤(大動脈炎)や冠動脈の炎症、動脈瘤の形成などが認められる(Arthritis Rheumatism 1985:28:652 )。現在申請者は、多数のマンノース受容体(MMR)陽性マクロファージが炎症局所に浸潤してくる条件を大血管病理組織やフローサイトメトリーを用いて検討している。 さらに申請者は、公開されている大動脈炎患者検体を用いたsingle cell(sc)RNA-seqデータの解析を行い、炎症部位や末梢血中におけるMMR陽性マクロファージを解析中である。これらの結果により、大動脈炎でMMR陽性マクロファージにおいて発現する遺伝子群が明らかとなる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度申請者は、マウスを用いたLactobacillus caseiの細胞壁抽出物(LCWE) 誘導性大血管炎モデルを用いて、多数のマンノース受容体(MMR)陽性マクロファージが炎症局所に浸潤してくる条件を大血管病理組織やフローサイトメトリーを用いて検討している。この条件設定が完了次第、炎症部位組織を用いたsingle cell(sc)RNA-seqデータの解析を行い、集積してくるMMR陽性マクロファージの遷移状態の解析(trajectory解析)やRNA velocityからの MMR陽性マクロファージ分化状態の推測(velocity解析)を行うことにより、定常状態の細胞集団から疾患特異的細胞集団への分化経路を明らかにする。 さらに申請者は、公開されている大動脈炎患者検体を用いたsingle cell(sc)RNA-seqデータの解析データを用い、炎症部位や末梢血中におけるMMR陽性マクロファージを解析中である。これらの結果により、大動脈炎でMMR陽性マクロファージにおいて発現する遺伝子群が明らかとなる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、マウスを用いたLactobacillus caseiの細胞壁抽出物(LCWE) 誘導性大血管炎モデルを用いて、多数のマンノース受容体(MMR)陽性マクロファージが炎症局所に浸潤してくる条件を検討したが、その条件決定が予想外に難航したため、一部実験計画を延長せざるを得ず、次年度繰越金が発生した。延期された実験計画については2023年度実施予定である。
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