研究課題/領域番号 |
22K08560
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
伊藤 暢聡 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (40361703)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | X線結晶構造解析 / B細胞 / 自己免疫疾患 |
研究実績の概要 |
本研究では、B細胞の抑制性共受容体であるCD72とリガンドとの相互作用の解明を目的としており、計画2年度目である本年度は、以下のような研究を行った。 これまでに我々は、マウス由来CD72リガンド結合ドメイン(CTLD)の結晶構造を報告しているが、初年度である昨年度はヒトのCD72のCTLDの構造解析にも成功した。一方で、このヒトCD72-CTLDは、ヒト固有の長いループ領域を欠失(短絡)させたコンストラクトを用いたものであった。並行して行われた溶液中でのリガンドとの相互作用解析から、このループ領域が結合に副次的に影響している可能性が示唆されたため、今年度はループ領域を含めた野生型のコンストラクトによるヒトCD72-CTLDの構造解析を進めた。その結果、X線結晶解析によって高解像度の立体構造を決定することができた。今回の構造においては、リガンド結合部位と想定される部分に、マウスCD72-CTLDの場合のような正電荷の集積は見られなかった。これがCD72のリガンドである自己抗原分子Sm/RNPとCD72との相互作用にどのように影響しているか興味深い。 また、共同研究を通して、CD72の新たな生理的リガンドの候補分子が複数同定された。これらはいずれもSm/RNPと同様、複数の蛋白質分子からなる大きな複合体であり、かつ自己抗原となる得るので疾患との関連が示唆される。CD72-CTLDのような比較的小さな蛋白質が、異なる複数の蛋白質複合体をどのようにして認識しているのか、今後の研究の焦点となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで明らかになっていなかった、ループ領域を含むヒトのCD72-CTLDの結晶構造を明らかにすることができた。また、クライオ電顕による実験も開始できたため、上記のように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、CD72リガンド結合ドメインとSm/RNPの複合体構造解析を進める。また、そのために複合体の安定化をはかる方法も検討する。また、上述した、新たに同定されたSm/RNP以外の生理的リガンド候補についても、可能な限り複合体の解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の物品が値引きにより想定より安価に購入できたためであり、物品費に充当して使用する。
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