研究課題/領域番号 |
22K08561
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
石丸 かよ子 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (10710353)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アレルギー反応 / 報酬系 / マスト細胞 / 豊かな環境 |
研究実績の概要 |
アレルギーと精神活動との関係を解明することは21世紀のアレルギー学における重要なチャレンジの1つである。研究代表者らは、前向きな情動を司る脳内ドーパミン報酬系の中心部位VTAを最新の化学遺伝学的手法(DREADD)により選択的に活性化するとI型アレルギー反応モデルであるPCA反応が抑制されることをマウスの系で明らかにした(Allergy 2020,IF13.0)。しかしながらDREADDによるVTA活性化は人工的な活性化であり、リアルワールドで起こるVTAの自然な活性化がI型アレルギー反応を実際に抑制するかは不明である。またVTA活性化からI型アレルギー反応抑制に至る経路もよくわかっていない。さらにVTAが神経(ドーパミン)シグナルを投射する各脳部位(海馬、扁桃体、線条体、側坐核等)がI型アレルギー反応に果たす役割も不明である。 本年度は、リアルワールドで見られる様々なドーパミン報酬系刺激 (食事、異性、豊富な環境等)がPCA反応を抑制するか、その機序はいかなるものかについて解析する目的で、特に豊富な環境に飼育したマウスと通常の環境に飼育したマウスでのPCA反応の差異について検討した。 その結果、豊富な環境(回し車を飼育ケージ内に配置した環境)で2週間飼育したマウスにおいて通常の環境で2週間飼育したマウスと比較してのPCA反応の抑制傾向が認められた。現在、この結果について性差や年齢による影響、およびその機序について解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、リアルワールドで見られる様々なドーパミン報酬系刺激 (食事、異性、豊富な環境等)がPCA反応を抑制するか、その機序はいかなるものかについて解析する目的で、特に豊富な環境に飼育したマウスと通常の環境に飼育したマウスでのPCA反応の差異について検討した。 その結果、個々のマウスにおける結果のバラつきが大きく、結果の解釈に難渋した。 性差や年齢の要素が大事であることに気づき、それらの条件を色々と検討することでポジティブな結果が得られ始めた。よって本研究は当初の計画よりやや遅れていると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
種々のVTA活性化刺激を与える時間や量の条件検討が、実験の成否を決めると推測されていたがその通りになった。現在、豊かな飼育環境におけるVTA活性化の最適な条件が見出されつつある。今後は、豊かな飼育環境によるマウスVTA活性化からPCA反応抑制に至る経路を解明するために、交感・副交感神経系やホルモン機能をβブロッカーや抗アセチルコリン剤、コルチコステロン受容体拮抗薬、神経ペプチド阻害剤等を用いて薬理学的に抑制しPCA反応抑制効果への影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会をオンライン参加に変更したため旅費が発生しなかったが、その代わりに必要な試薬等を購入した。 次年度使用額は2,470円となっており、ほぼ計画通り執行できている。
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