研究実績の概要 |
B型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染は肝がんの発生リスクとなっているが、現在の慢性B型肝炎に対する治療法ではHBVの完全排除は困難な状況である。そこで、本研究は、B型肝炎の持続感染に重要な新規宿主遺伝子を同定しその機能を明らかにするとともに、インドネシア薬用植物含む天然物資源からcccDNAを標的とした新規抗HBV物質を同定することを目的とする。(1)NTCP受容体を発現するHuh7-NTCP細胞を、4%正常ヒト血清を含む培地で培養したところ、約2週間で増殖が停止し、4週間まで維持されていた。21日間培養した細胞が、肝細胞に近い代謝活性を有するのかを肝分化マーカー遺伝子(AFP, ALB, CYP3A4, HNF, UGT1A1)の発現をリアルタイム定量PCRで確認したところ、ALB, CYP3A4, UGT1A1のmRNA発現量が10%ウシ血清で培養した細胞と比べ2から10倍増加していた。この21日目の細胞にHBVを感染させ、感染14日後の細胞内HBV RNA量を調べたところ、10%ウシ血清で培養した通常細胞に比べ4倍程度増加していた。(2)真菌由来の化合物から、cccDNA形成を抑える活性がある天然物を同定した。この化合物はC型肝炎ウイルスのRNA複製も抑えることがわかった。現在、作用点の詳細な解析を行なっている。
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