研究課題/領域番号 |
22K08602
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
前田 洋助 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (30284764)
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研究分担者 |
刈谷 龍昇 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 特任講師 (40757663)
近田 貴敬 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 特任講師 (60749711)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | HIV-1 / CCR5 / CXCR4 / エピゲノム解析 |
研究実績の概要 |
HIV-1の感染は、CCR5をコレセプターとして利用するR5ウイルスが感染全体で主流であるのに対し,CXCR4を利用するX4ウイルスは一部の症例の感染初期と感染後期にしか出現しないが,その機序は明らかとなっていない。我々は過去の研究から、サブタイプAEのR5ウイルスとX4ウイルスが同一個体内に共存している例があることを報告してきて、このような共存状態から、感染個体の環境の変化によりX4ウイルスがメジャー集団となることが、このようなスイッチの機序の一部ではないかと考えている。 そこで本研究では、このようなX4ウイルス複製の生体内での抑圧と感染後期での増大機序について,ウイルス側とともに宿主側因子の研究を行うため、潜伏感染細胞を含めて感染細胞を同定・濃縮可能なレポーター遺伝子を搭載したウイルスの作製を試みている。本年度は同一個体からクローニングしたR5ウイルスとX4ウイルスの感染性クローンを作製し、その感染性とコレセプター利用性を確認した。さらにnef領域に蛍光タンパク質であるvenus遺伝子ないしHSA遺伝子をそれぞれの感染クローンに挿入するとともに、nef遺伝子の発現を確保するために、その上流にIRES遺伝子を組み込み、フローサイトメトリーで検出可能な感染系を樹立した。具体的には末梢血リンパ球にそれぞれのレポーターウイルスを感染させ、細胞表面に発現するHSAタンパク質は蛍光標識のモノクローナル抗体で染色し、venusタンパク質とともにフローサイトメトリーを用いてそれぞれの感染T細胞を検出することができた。さらにメモリーないしナイーブ細胞サブセットへの感染性の違いについても解析が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CD4陽性リンパ球へのレポーターウイルスの感染性が非常に低いことが明らかとなり、現在その原因を明らかにしているところである。そのため動物実験の準備ができていない状態である。
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今後の研究の推進方策 |
CD4陽性リンパ球への感染性が確保できれば、それぞれのウイルスが感染している細胞のT細胞サブセットの形質を明らかにする予定である。また、それぞれの潜伏感染細胞を検出できるシステムを開発していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
作製したレポーターウイルスの感染性が低く、末梢血CD4陽性リンパ球への感染確認に時間を要しており、当初計画していた動物を使用した実験系への移行準備のための予算を消化できていない。
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