研究課題
全研究期間を通じて、狂犬病重症(カテゴリーIII)曝露に対するより確実な治療レジメの提案を目指し、抗狂犬病免疫グロブリン(RIG)の代替として抗ウイルス薬を用いることで、咬傷曝露局所での感染ウイルス量の減衰・消失を目指した、新しいPEPの立案と実証を行い、狂犬病流行地での曝露後治療への臨床応用を見据えた研究を行う。昨年初年度には、カテゴリーⅢを模した創傷感染モデルマウスを用いて経口、塗布によるファビピラビル投与後のワクチン接種の有効性の評価を目的とし、PEPとしてワクチン接種のみ、ワクチン接種に加えて接種0日目にHRIG投与、接種0から6日目にファビピラビルの経口投与(300mg/kg)、さらに同様の期間ファビピラビル含10%ワセリン軟膏を局所塗布、の4群を設定し、脊髄・脳内へのウイルス侵入と生死について観察した。HRIG群あるいはファビピラビル投与(経口、塗布)群ではすべてが生残し、ファビピラビルの投与はHRIG同様にPEPにおける初期ウイルス増殖抑制のための薬剤として代替できる可能性を示し英文論文として発表した。本年度はファビピラビルをPEPに実際の臨床現場で用いることが可能かを検討するため、代表的狂犬病侵淫国であるバングラデシュ チッタゴンにあるBangladesh Institute of Tropical and Infectious Diseases (BITID) Hospitalの関係者と会議を重ねた。本病院では年間200-400例の動物咬傷事例と、10例前後の狂犬病真性患者が報告されており、ここでのカテゴリーIII受傷患者に対して行われるPEPに、ファビピラビルをアドオンしたレジメでの臨床研究(優位性または非劣性試験)の実施に向けて、病院の倫理審査委員会と検討を開始した。
2: おおむね順調に進展している
狂犬病ウイルス曝露直後に、ファビピラビルの経口投与に加え軟膏剤塗布による局所でのウイルス増殖抑制効果・生残効果について感染モデルマウスを用いたin vivoの実験で確認でき、本研究当初の目的が動物レベルで確認され、これを国際学術誌や国際学会での発表も行うことができたため。
本法は狂犬病侵淫国の実際の臨床現場での応用が速やかに望まれるため、代表的な狂犬病侵淫国であるバングラデシュを対象国とした臨床試験に向けた検討を開始する。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)
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