研究課題/領域番号 |
22K08628
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
福田 一起 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (70884592)
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研究分担者 |
松村 剛 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (20398192)
前田 沙梨恵 熊本大学, 病院, 医員 (30836234)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | NAFLD / 膵腺房細胞 |
研究実績の概要 |
膵腺房細胞機能低下と脂肪肝炎進展の関連を評価するために、C57BL/6J薬剤誘導性膵炎モデルマウスに高脂肪食(HFD32)を12週間負荷し、随時血糖や体重および摂餌量の評価、11週時点でipITT, ipGTTを行い、12週時点でipPTTおよびsacrificeを行った。これまでに2コホートが終了しているが、解析に使用できたマウスはVehicle群n=5、薬剤誘導性膵炎(Cerulein)群n=8であり、2群間の検討を行った。随時血糖や空腹時血糖は、体重や摂餌量についてはいずれもCerulein群でやや低値であったが、統計学的な有意差は認めなかった。ipGTTではCerulein群でGlucose Area Under Curve(AUC)が低下傾向であったが有意差は認めず、ipITTやipPTTでは両群間の有意差は認めなかった。続いてsacrificeを実施し、肝臓および膵臓の評価を行った。体重で補正した肝重量は両群間で差は認めなかったものの、HE染色にてCerulein群で肝細胞のballooningおよび脂肪的沈着を認めた。今後、肝のOil red o染色やAzan染色、肝トリグリセライド測定、肝脂質代謝遺伝子網羅的解析など総合的にNAFLD進展の影響を新たなコホート作成とともに令和6年度の実施を予定している。膵臓については、Cerulein群で有意な膵重量低下を認めており、HE染色でも膵腺房細胞の脂肪置換を認めていたことから、適切な膵炎モデルが作成出来ていたと考えている。 CMVベクターを用いたLPL過剰発現ベクターはマウス由来膵腺房細胞株にtransfectionを行い、2.5倍程度のLPL過剰発現を確認している。本来であれば、令和5年度中に本ベクターを用いたトランスジェニックマウスの作成を目指していたが、やや遅延している。令和6年度中に実施し、評価を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本申請研究が最もエフォートを占めるものであるため、令和5年度中に過剰発現モデルマウスが作成できないといった計画の遅延は恥ずべきところだと認識している。本来であれば、令和5年度中に本ベクターを用いたトランスジェニックマウスの作成を目指していたが、やや遅延している。現在までに過剰発現モデルマウス作成のためのCMVベクターは作成できているので、令和6年度中に実施し、評価を行いたい。また、同様にCMV-LPLをトランスフェクションしたマウス由来膵腺房細胞株266-6とmouse primary hepatocyteをlipid mixture下で共培養した実験系も令和6年度中に実施する。 また、in vivoにおける評価についてはC57BL/6J薬剤誘導性膵炎モデルマウスを用いたHFD負荷、通常食負荷と最終的な結論を導くにはややサンプルサイズが少ないと判断した。そのため、現在は第3コホートの実験準備を行っている。それぞれの群でサンプルサイズが最低でも10-15となった際に最終的な結論を導いていく。 今後もそれぞれの実験系で適切な評価、検定を用いて導くべきことを今後も着実に行っていく所存である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は申請研究の最終年度に該当しているが、これまで同様、実験計画に基づいて研究を実施するが、それぞれの節目に適切な研究条件を確認し、得られた結果の解釈を研究分担者や所属講座内カンファレンスで協議し、より客観性のある研究を実施していく。しかし、これまでに研究計画通りに進捗していないという問題点も残るが、令和6年度よりこれまでの研究分担者に加えて、研究グループに大学院生を迎え入れることとなるため、今後はよりスピード感のある研究推進が可能と考えている。今後もより精力的に研究を実施していきたい。 また、in vivoでの研究成果、in vitroでの研究成果がある程度まとまった段階で、学会発表を行い、様々な意見をとりいれ、最終的には論文投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
過剰発現モデルマウス作成計画などの遅延のため、翌年度に繰り越しを依頼しました。
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