• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

弾性線維を介したエネルギー代謝制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K08629
研究機関横浜市立大学

研究代表者

奥山 朋子  横浜市立大学, 医学部, 助教 (90806928)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードインスリン感受性 / エネルギー代謝 / 弾性線維 / 糖尿病
研究実績の概要

本研究では細胞外弾性線維関連分子であるFibulin-5 (Fbln5)と糖エネルギー代謝の関連について検討した。これまでにFbln5欠損マウスは体重非依存性の全身のインスリン感受性の亢進と肥満抑制、高脂肪食誘導性の脂肪肝および脂肪細胞の肥大化の抑制、寒冷刺激への易感受性を呈することを同定している。Fbln5欠損により皮膚脂肪酸代謝関連遺伝子(SCD1、DGAT1/2、PLA2)の発現変化を認め皮脂腺の萎縮を認めていたことから、皮膚における脂質代謝を介した全身性の熱代謝の変化が、Fbln5欠損による肥満抑制に寄与している可能性を考えていたが、Fbln5欠損マウスの酸素消費量は野生型マウスと同等であった。一方で、活動性はFbln5欠損により顕著に低下していた。体表からの熱・水分の放散を抑制するため30℃の飼育環境下でも表現系の評価を行ったが、Fbln5欠損による体重増加の抑制やインスリン感受性の亢進は残存した。
Fbln5欠損による糖エネルギー代謝変化の責任臓器を探るため、表皮特異的、肝細胞特異的、脂肪細胞特異的Fbln5欠損マウス、血管平滑筋特異的Fbln5欠損マウス、骨格筋特異的Fbln5欠損マウス、血管内皮特異的Fbln5欠損マウスを樹立し、また今回新たに血管内皮/血管平滑筋両Fbln5欠損マウスを樹立したが、インスリン感受性の変化を呈さなかったことから、臓器連関を介したFbln5によるインスリン感受性制御機構が示唆された。現在Wnt1-CreマウスとFbln5-floxedマウスを交配し、神経堤細胞特異的Fbln5欠損マウスの樹立によるさらなるFbln5による糖代謝制御機構の解明を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Fbln5-floxedマウスおよび各種Creマウスの交配により、臓器特異的Fbln5欠損マウスの樹立を順調に進めている。これまでに表皮特異的、肝細胞特異的、脂肪細胞特異的Fbln5欠損マウス、血管平滑筋特異的、血管内皮特異的、骨格筋特異的Fbln5欠損マウス血管内皮/平滑筋両特異的Fbln5欠損マウスを樹立している。現在さらに神経堤細胞特異的Fbln5欠損マウスを樹立している。
またFbln5欠損マウスにおけるエネルギー代謝制御機構の評価として、酸素消費量やエネルギー代謝、活動量の評価に加えて、30℃温室での飼育下における体重変化や糖代謝の評価を施行済みであるが、今後交感神経系の関与等についても解析を検討していく。

今後の研究の推進方策

臓器特異的Fbln5欠損マウスの樹立に関して、これまでに各種代謝臓器特異的なFbln5欠損マウスにおいてインスリン感受性の変化や体重変化がみられなかったことから、新たに神経堤細胞由来のFbln5による作用の検証を計画し、現在Wnt-Creマウスを用いて神経堤細胞特異的Fbln5欠損マウスを樹立しており、今後表現型解析を進めていく。
さらに今後はELISAキットを用いた各臓器特異的Fbln5欠損マウスの血中のFBLN5測定による解析を追加していきたい。
Fbln5はインテグリン結合性を有し肝臓や筋肉におけるインテグリンを介した細胞内シグナルによるインスリン感受性やエネルギー代謝の制御が報告されており、Fbln5欠損マウスの各代謝臓器におけるインテグリンを介したシグナルの変化をwestern blot解析により評価していくことで代謝制御との相互作用について検討していきたい。

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi