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2023 年度 実施状況報告書

高効率かつ低侵襲なβ細胞新生誘導法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K08633
研究機関北里大学

研究代表者

宮塚 健  北里大学, 医学部, 教授 (60622363)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード糖尿病 / β細胞再生医療 / Pdx1 / リプログラミング / 内分泌細胞 / α細胞 / β細胞
研究実績の概要

糖尿病根治を実現するためには失われた膵β細胞機能を補うことが不可欠である。そうした中でβ細胞以外の細胞からβ細胞新生を誘導する再生医療が注目されている。我々は動物モデルにおいてα細胞からインスリン産生細胞へのリプログラミングを誘導することに成功してきたが、実臨床へ応用するためには、低侵襲かつ高効率なβ細胞新生誘導法の開発が必要となる。
最近我々は抗グルカゴン抗体をマウスに投与することにより、α細胞新生が誘導されることを見出した(Himuro M et al. 2024)。このことは、グルカゴンシグナル抑制が内分泌細胞の可塑性を修飾することを示唆しており、これを応用することによりβ細胞新生を効率的に誘導できる可能性がある。そこで本研究では、グルカゴンシグナル抑制がβ細胞新生効率を改善する可能性を検証することを目的とした。
Cre-loxPシステムによりα細胞特異的かつ誘導性にFLAG-tagged Pdx1を発現する遺伝子改変マウス(Gcg-CreER; CAG-CAT-Pdx1; αPdx1マウス) を作製し、タモキシフェン誘導性にα-to-β reprogrammingを誘導することに成功した。αPdx1マウスにグルカゴン受容体拮抗薬(GRA)を経口投与 した結果、、GRA投与によりβ細胞新生効率は有意に上昇した。 さらにαPdx1マウスにアロキサンを投与することによりβ細胞を破壊した後、GRAを2週間投与、4週間のwash out後、腹腔内ブドウ糖負荷試験を行った結果、高血糖が有意に改善し、ブドウ糖応答性インスリン分泌も改善していた。
以上の結果はグルカゴンシグナル抑制がPdx1によるβ細胞新生効率を向上させ、かつ新生β細胞が高血糖状態を是正することを示している。本研究結果を応用することにより低侵襲かつ高効率なβ細胞再生医療を実現することを目指したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

αPdx1マウスにアロキサンを投与し、β細胞を欠失した条件下でGRAを投与し、β細胞新生効率を定量化した結果、耐糖能正常マウスの実験系に加え(2022年度)、糖尿病モデルマウスにおいてもグルカゴンシグナル抑制がβ細胞新生効率を有意に改善することを明らかにした。またグルカゴンシグナル抑制がブドウ糖応答性インスリン分泌を改善することを見出した。現在、アデノ随伴ウイルスを用いてPdx1を導入し、より侵襲度の低いβ細胞新生誘導法を開発しており、ほぼ予定通りに研究が進んでいる。

今後の研究の推進方策

【アデノ随伴ウイルス(AAV8)によるα-to-β reprogrammingの低侵襲化】 Pdx1を発現するAAV8を腹腔内に投与することによりα細胞特異的にPdx1を発現さ せ、α-to-β reprogrammingを誘導する。同時にグルカゴン受容体拮抗薬(GcgRA)を経口投与することにより、β細胞新生効率の改善を目指す。

【論文化】 上記研究成果を論文化する。

次年度使用額が生じた理由

アデノ随伴ウイルスを用いたin vivo実験に際して、当初の予定より少ない予算で研究を行うことができた。2024年度はin vivo実験等に多くの費用を必要とするため、「次年度使用額」に相当する金額を使用させていただきたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] グルカゴンシグナル抑制によるα-to-β reprogrammingの効率化2024

    • 著者名/発表者名
      田口朋、宮塚健他
    • 学会等名
      第37回目本糖尿病・肥満動物学会年次学術集会
  • [学会発表] グルカゴンシグナル抑制によるα-to-β reprogrammingの効率化2023

    • 著者名/発表者名
      田口朋、宮塚健他
    • 学会等名
      第66回日本糖尿病学会 年次学術集会
  • [学会発表] 膵α細胞の個性と可塑性 -高時間分解能時空間解析による新知見-2023

    • 著者名/発表者名
      宮塚健
    • 学会等名
      第66回日本糖尿病学会 年次学術集会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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