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2023 年度 実施状況報告書

膵β細胞ブドウ糖毒性から見た新規糖尿病治療薬の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22K08638
研究機関川崎医科大学

研究代表者

金藤 秀明  川崎医科大学, 医学部, 教授 (80448034)

研究分担者 木村 友彦  川崎医科大学, 医学部, 講師 (50454830)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードインスリン転写因子
研究実績の概要

2型糖尿病の2大特徴は、膵β細胞機能不全と肝臓、脂肪、骨格筋などのインスリン標的臓器におけるインスリン抵抗性である。2型糖尿病発症後、膵β細胞が慢性的に高血糖に曝されると、β細胞におけるインスリン生合成および分泌障害はさらに顕著化するという悪循環に陥る。この現象はブドウ糖毒性として臨床的にも広く知られている。申請者らはこれまでにこのブドウ糖毒性の分子機構に酸化ストレスおよびその下流のストレスシグナル経路の活性化が関連することを報告している(Kaneto H et al. Int J Mol Sci, 2020; Kaneto H et al. J Diabetes, 2016)。
また、申請者らは一貫してインスリン遺伝子の極めて重要な転写因子であるMafAおよびPDX-1に関する研究に携わっている。そうした中で申請者らは、ブドウ糖毒性による膵β細胞障害にはMafAおよびPDX-1の発現の低下が深く関与すること、またその分子メカニズムなどに関して論文報告している(Fushimi Y, Kaneto H et al. Scientific Rep, 2021; Obata A, Kaneto H et al. Diabetologia, 2019; Kimura T, Kaneto H et al. Diabetes Obes Metab, 2018; Kimura T, Kaneto H et al. Diabetes & Metab, 2018; Matsuoka T, Kaneto H et al. Diabetes, 2010)。さらに、2型糖尿病モデルマウスにおいて、Cre-loxPシステムを用いて、MafAやPDX-1の発現を保持すると、インスリンの生合成、グルコース応答性インスリン分泌が改善し、血糖コントロールも改善することを報告している(Kaneto H et al. Biomedicines, 2022; Matsuoka T, Kaneto H et al. J Biol Chem, 2015)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請者らは既に、膵β細胞株 MIN6 において小分子化合物ライブラリーを用いたスクリーニングを進めており、MafA や PDX-1 の発現を増加させる因子をいくつか同定しているが、現在さらにスクリーニングを進めている。既に同定された薬剤に関しては、健常マウスからの単離膵島での検討、また( MafAやPDX-1の発現が低下している)糖尿病モデルマウスからの単離膵島での検討も進めている。SGLT2阻害剤でブドウ糖毒性を軽減させた際のMafAやPDX-1の発現量の変化の検討も既に開始しており、早期投与すれば MafA, PDX-1 などの発現が増加することは確認済みである。細胞培養系で良好な結果でも、動物実験では効果がない可能性もあり、SGLT2阻害薬を用いた検討も並行して行い、新規糖尿病治療薬開発に繋がるようにしている。

今後の研究の推進方策

インスリン遺伝子の転写因子であるMafAやPDX-1の発現を増加させる因子を網羅的に検索する。具体的にはG protein- coupled receptor(GPCR)に結合する小分子化合物ライブラリーをはじめとする各種の小分子ライブラリーを順次β細胞株MIN6に投与して、RT-PCRにてMafAやPDX-1のmRNA発現を増やすことのできる因子を引き続き網羅的に検索する。その際にインスリンのmRNAの発現も増やしているかも同時に検討して総合的に評価する。現在までのスクリーニングにて既にいくつかの因子が同定されており、現在さらにスクリーニングを続けている。MIN6細胞にて変化を認めた薬剤に関してはマウスからの単離膵島においても同じ結果が得られるかを確認する。現在までのスクリーニングにて健常マウスおよび肥満2型糖尿病モデルdb/dbマウスからの単離膵島を用いた実験で既にいくつかの因子が同定されている。
さらに上記で選択された薬剤に関して、各薬剤の特徴に応じて肥満2型糖尿病モデルマウスであるdb/dbに静脈注射あるいは経口投与し、MafA, PDX-1 の発現量の変化、インスリン生合成、分泌能の変化、さらに血糖コントロールに変化を検討する。細胞培養系では良好な結果でも、動物実験では効果がない可能性もあるため、上記のスクリーニングで可能性のある薬剤に関してはできるだけ多くの種類の薬剤での検討を計画している。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由:消耗品が予定より安価で入手できたため。次年度使用計画:膵島の単離に必要な試薬の購入。

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公開日: 2024-12-25  

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