研究課題/領域番号 |
22K08658
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐藤 叔史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (90622598)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 転写因子 / 膵β細胞 / 肝臓 / 膵α細胞 |
研究実績の概要 |
転写因子HNF1αは若年発症成人型糖尿病(MODY3)の原因遺伝子である。MODY3患者は主にインスリン分泌不全を呈するが、その他インスリン感受性亢進やグルカゴン分泌低下を認める。私共は、これらHNF1α欠損による表現型を理解しうる鍵因子ANKS4Bを同定した。本研究では、ANKS4Bのβ細胞、肝臓およびα細胞における役割を明らかにすると共に、ANKS4Bが糖尿病の治療標的となりうる可能性について検討する。本課題遂行により、ANKS4Bの新規糖代謝制御メカニズムの解明のみならず、糖尿病(MODY3)発症の病態生理学的な理解が進みANKS4Bを標的とした糖尿病治療の分子基盤に繋がることが期待される。 本研究では①β細胞、②肝臓、③α細胞におけるANKS4Bの機能を明らかにする。また④糖尿病時のこれらの臓器におけるANKS4Bの発現を検討するとともにANKS4Bが糖尿病の分子標的になるか検討を行う。①および②について、それぞれ特異的欠損マウスを作製し、in vivoにおいて種々の糖代謝実験を行い、インスリン分泌およびインスリン感受性の制御因子であることを確認した。また単離した初代培養細胞でもインスリン分泌およびインスリン感受性に対して同様の影響を確認したため、生体内でのみ認められる現象ではなく細胞自律的な現象であると考えられた。現在、肝細胞および膵β細胞の株化細胞を用いてAnks4bノックダウン細胞を作製しており、上記表現型を説明するANKS4Bの作用点の解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はおおよそ実験計画どおりに、遺伝子改変マウスを用いた基礎データの取得ができた。また次年度の計画に向けたノックダウン細胞の樹立にも取り掛かっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は実験計画通り、細胞実験を中心として研究を進め、ANKS4Bの作用点について明らかにする。具体的には肝細胞およびβ細胞におけるANKS4Bの相互作用因子の同定を行い、その分子との関連性について検討する予定である。またα細胞特異的欠損マウスの作製にも着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度以降に実験動物の作製や維持などのために研究費使用の増大が見込まれたため今年度の交付金を次年度に繰り越した。
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