• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

肥満症における視床下部組織リモデリング -細胞ダイナミクスの解明と再構成の試み

研究課題

研究課題/領域番号 22K08660
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

田中 智洋  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (20402894)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード肥満症 / 視床下部 / オミクス / 炎症 / グリオーシス
研究実績の概要

近年の1細胞解析技術の進歩により、組織を構成する細胞種のレパートリーを解明し、各細胞種の特性変化や細胞系譜を経時的に追跡することが可能となった。本研究では、近年、肥満症患者の視床下部にみられ、肥満モデル動物において肥満症の発症に病因論的に重要であることが確立しつつある、神経炎症・グリオーシスの分子病態の解明を目指して、視床下部のシングル核トランスクリプトーム解析を行ってきた。視床下部でも特に弓状核はレプチンやインスリン、GLP-1など末梢の栄養状態を中枢神経系に伝達するホルモンの受容体を発現している領域であり、エネルギー代謝中枢の1次ニューロンが局在する領域と考えられている。すでに成体マウス視床下部弓状核プールサンプルからの核の分離やライブラリ作成などにかかる条件検討は完了しており、高脂肪食により肥満を発症するプロセスの各段階におけるトランスクリプトーム解析結果が出そろいつつある。またシグニチャー遺伝子の発現パタンに基づく細胞クラスターのアノテーションも出来ており、今後デブリを多く含む細胞クラスターの除外と、肥満症発症プロセスにおける経時的変化について、弓状核のバルクでのトランスクリプトーム解析結果と照合しながら解析する予定である。また、レプチン応答性ニューロンとマイクリグリア細胞の共培養系についてもシステムの構築に成功し、種々の薬剤やホルモンの添加実験を開始しつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

肥満モデルマウスの視床下部弓状核の解析、レプチン抵抗性再現モデルの構築の双方について基盤技術のセットアップは完了し、既に実際の解析に入り、解析データも得られつつあるため。

今後の研究の推進方策

シングル核RNA-Seqを用いた解析では、肥満発症のプロセスにおける視床下部弓状核細胞の細胞集団としての挙動と、各細胞クラスター内における発現遺伝子群の変化を分けて理解するためのin silicoでのデータ解析に重点をおく。とりわけ、肥満発症プロセスにおける新規細胞集団の出現や消失の有無、bulkのRNA-Seqで特徴的な変動パタンを示す遺伝子群として検出されたいくつかの遺伝子グループ(エンドペプチダーゼインヒビターなど)については、どの細胞での変化が全体に影響を与えているのか、については力点をおいて解析する。またレプチン抵抗性モデルにおいては、それぞれ単一種の細胞では出現しない現象が混合培養によりみられるかに着目して解析を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

必要試薬の納品遅延により年度内に出来ない実験が一部発生したため

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Role of PPARα in inflammatory response of C2C12 myotubes2024

    • 著者名/発表者名
      16.Shimizu Y, Hamada K, Guo T, Hasegawa C, Kuga Y, Takeda K, Yagi T, Koyama H, Takagi H, Aotani D, Kataoka H, Tanaka T.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 29 ページ: 149413

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.149413

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Safety and effectiveness of metabolic surgery in older Japanese patients2023

    • 著者名/発表者名
      Takemoto Minoru、Hayashi Aiko、Inaba Yosuke、Tanaka Tomohiro、Chun Tae‐Hwa、Hayashi Hideki、Kasama Kazunori、Saiki Atsuhito、Sasaki Akira、Okazumi Shinichi、Matsubara Hisahiro、Tatsuno Ichiro
    • 雑誌名

      Annals of Gastroenterological Surgery

      巻: 7 ページ: 750~756

    • DOI

      10.1002/ags3.12680

    • 査読あり
  • [雑誌論文] l-Type amino acid transporter 1 in hypothalamic neurons in mice maintains energy and bone homeostasis2023

    • 著者名/発表者名
      14.Park G, Fukasawa K, Horie T, Masuo Y, Inaba Y, Tatsuno T, Yamada T, Tokumura K, Iwahashi S, Iezaki T, Kaneda K, Kato Y, Ishigaki Y, Mieda M, Tanaka T, Ogawa K, Ochi H, Sato S, Shi Y, Inoue H, Lee H, and Hinoi E
    • 雑誌名

      JCI Insight

      巻: 8 ページ: e154925

    • DOI

      10.1172/jci.insight.154925

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Medium-chain fatty acids suppress lipotoxicity-induced hepatic fibrosis via the immunomodulating receptor GPR842023

    • 著者名/発表者名
      Ohue-Kitano Ryuji、Nonaka Hazuki、Nishida Akari、Masujima Yuki、Takahashi Daisuke、Ikeda Takako、Uwamizu Akiharu、Tanaka Miyako、Kohjima Motoyuki、Igarashi Miki、Katoh Hironori、Tanaka Tomohiro、Inoue Asuka、Suganami Takayoshi、Hase Koji、Ogawa Yoshihiro、Aoki Junken、Kimura Ikuo
    • 雑誌名

      JCI Insight

      巻: 8 ページ: e165469

    • DOI

      10.1172/jci.insight.165469

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi