研究課題/領域番号 |
22K08662
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
鈴木 光幸 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90449059)
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研究分担者 |
成島 聖子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (80578336)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 便中胆汁酸 / 胆汁酸脂肪酸エステル体 / IL-6 |
研究実績の概要 |
糞便中の胆汁酸は、非共有結合の形態で存在するものの、鹸化可能な胆汁酸も存在することが知られている。昨年度までの研究で、分析標準物質としてイソデオキシコール酸(isoDCA)とイソリトコール酸(isoLCA)の一連の脂肪酸3β-アシル結合体を化学合成し、新生児から成人(n=64)までの糞便プロファイルをLC/MSにより分析した結果、脂肪酸抱合イソ型胆汁酸(FA-isoBAs)が2歳から成人まで常に存在しており、C16およびC18鎖のFA-isoBAsエステルが年齢に関係なく優勢であることが判明している。今年度はマウスマクロファージRAW264.7細胞を用い、FA-isoBAsの抗炎症作用について検討した。12穴培養プレートにRAW264.7を1.0×105 cellsで播種し48時間培養した。GW9508(遊離脂肪酸受容体Ffar4のリガンド)、Linoleic acid、LCA、iso-LCA、Linoleoyl-isoLCAにて1時間treatmentした後、Escherichia coli由来リポ多糖(LPS)を添加し24時間後に上清および細胞を回収した。上清中の炎症性サイトカイン濃度(IL6、TNF-α, MCP-1など)、および細胞溶解液からcDNAを作成し、各種サイトカインのmRNA発現量を解析した。Linoleic acid またはisoLCAそれぞれ単独treatmentと比較し、Linoleoyl-isoLCA を添加するとIL-6などの炎症性サイトカインの産生が抑制されていた。FA-isoBAsの1つであるLinoleoyl-isoLCAが腸管内で抗炎症作用を発揮している可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に開始を予定していた脂肪酸抱合イソ型胆汁酸(FA-isoBAs)における抗炎症作用の検討を開始し、細胞培養系を利用することで効率よく解析ができ、当初の研究実施計画に達することできた。
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今後の研究の推進方策 |
RAW264.7細胞での抗炎症作用発現機序の解明、脂肪酸抱合イソ型胆汁酸(FA-isoBAs)が有する他の生理学的作用の探索は今後の研究課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度後半に予定していた培養細胞を用いたRAW264.7細胞での抗炎症作用発現機序の解明、および脂肪酸抱合イソ型胆汁酸(FA-isoBAs)が有する他の生理学的作用の探索においてRNAシークエンスを予定していたが、その解析に至らず物品費用分について次年度使用額が生じた。
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