乳清タンパク質ホエイプロテイン(WP)と大豆由来タンパク質βーコングルシニン(Con)を雄性C57BL6マウスに通常の餌と共に3日間水に溶かして給水で投与したところ、WP投与群では小腸(回腸)で胆汁酸排出のトランスポーターであるOstα/βの発現低下を伴うFGF15の発現の増加と血中FGF15濃度の増加を呈し、肝臓における胆汁酸合成酵素CYP7A1とCYP8B1の発現を低下させ、肝臓で1次胆汁酸合成の低下を呈した。それに伴い小腸では、TGR5、GLP-1、TPH1の発現低下による血中セロトニン濃度の低下とインスリン分泌の低下を呈した。 一方、Con投与群では、WPの前記一連の反応とは全く逆の反応を呈した。WP投与群でもCon投与群でも共に体重減少を呈したため、前記作用は体重減少によるものではないことが判明した。 WPとConは小腸におけるFGF15産生を介した肝臓での胆汁酸合成と腸由来セロトニンー膵インスリン分泌系に対して反対の作用を有することが示唆された。 このように食事で摂取する蛋白質の種類によって、生体内で摂食シグナルである胆汁酸と胆汁酸受容体や関連ホルモンの合成・分泌・代謝を司る腸―肝―膵ネットワークが異なる作動を起こすことが確認された。
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