研究課題/領域番号 |
22K08672
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大野 晴也 広島大学, 病院(医), 講師 (60725894)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ベージュ脂肪細胞 / エピゲノム / PPARα |
研究実績の概要 |
ベージュ脂肪細胞において、核内受容体PPARαの選択的アゴニストであるペマフィブラートの投与により、その熱産生能を維持することが可能となり、高脂肪食摂取モデルマウスにおいて体重増加の抑制と耐糖能の改善を認めた。PPARαは核内受容体ELK1と結合し、熱産生遺伝子のプロモーター領域に共局在して、ヒストンメチル化やアセチル化の制御を介してその発現を調節している。ヒト熱産生脂肪組織においてもPPARαと熱産生関連遺伝子の発現は相関しており、実臨床で使用可能な選択的PPARαアゴニストの肥満関連疾患への有用性が期待できるものと考え、報告した(iScience. 2023 ;26(7):107143.)。 MATIIαのfloxマウスにAdipoq-CreERT2 マウスを交配し、タモキシフェン投与によって脂肪組織特異的MATIIαノックアウトマウスを作成した。慢性寒冷刺激を加えると、野生型マウスで観察されるベージュ脂肪細胞の形成が脂肪組織特異的MATIIαノックアウトマウスでは高度に抑制されていた。またUCP1を始めとする熱産生関連遺伝子の低下を認め、成体マウスでのベージュ脂肪細胞の形成にMATIIαが必要であることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
選択的PPARαアゴニストのベージュ脂肪細胞機能維持に関する論文を発表し、現在はMATIIαの熱産生脂肪細胞機能制御に関しての研究をすすめている。
|
今後の研究の推進方策 |
MATIIα欠失モデルマウスにおける環境応答に関しての検討をすすめていく。また、MATIIαはメチル化を司るだけでなく、クレアチン代謝にも関わる酵素として、熱産生脂肪細胞のUCP1非依存性熱産生能にも寄与している可能性を考え、細胞内代謝経路におけるMATIIαの役割についても検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度に予定していたPPARαアゴニストとエピゲノム調節に関する実験において、細胞培養実験試薬、生化学用試薬の使用に関して当初予定しているよりも少額で進めることができ、86,624円の次年度使用額が生じた。令和6年度ではMATIIαの環境応答に関する役割の検討を進める予定であり、次年度請求額を合わせて主に動物実験の購入に充てる計画である。
|