研究課題
糖尿病・肥満などの生活習慣病の増加や超高齢化を背景として非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)あるいはNASH肝癌の罹患率が急増しており、脂肪肝からNASHを経て肝癌に至るNASHの発症・進展機構の解明と予防・治療法の開発は喫緊の課題である。本研究は、脂肪肝からNASHを経てほぼ全例が肝癌を発症するヒトのNASHの病態に酷似した経過を示す「NASHモデルマウス」と、ミトコンドリアの品質管理において重要な「マイトファジー活性を可視化する蛍光プローブ」を用いて、NASHの病態進展におけるミトコンドリア品質管理(マイトファジー)の意義を明らかにするとともに、ミトコンドリア機能やマイトファジー機能の改善がNASHの治療法となりうるかを明らかにすることを目指すものである。これまで、NASHモデルマウスを用いて、8週齢雄性MC4R-KOマウスに高脂肪食を負荷すると脂肪蓄積、炎症、線維化といったNASHの発症・進展過程を観察できること、その過程でミトコンドリアの分裂に関与するdynamin related protein 1(DRP1)や、DRP1が結合するアダプター因子の一つであるmitochondrial fission factor(MFF)の遺伝子及びタンパク発現に変化は見られなかったが、マイトファジー機能関連蛋白p62の発現がNASHの進展とともに増加することを明らかにした。本年度はNASHモデルマウスとタモキシフェンにより時期及び肝細胞特異的にCreを発現するSA/ERT2-CreマウスとCreが発現するとマイトファジー蛍光プローブを発現することができるmitoSRAIマウスを掛け合わせて、in vivoでNASHの進展過程でマイトファジーを経時的に観察できるマウスの作製を行った。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)
PloS One
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