研究課題/領域番号 |
22K08680
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
石井 智弘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (70265867)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 先天性副腎低形成症 / ZNRF3 / 疾患モデルマウス / 副腎皮質機能低下症 / 嗅上皮変性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、先天性副腎低形成症の疾患モデルマウスとしてZnrf3エクソン2欠失マウスの表現型を解析し、ZNRF3/Znrf3遺伝子のエクソン2欠失の病態生理の解明、および副腎皮質の分化・維持におけるZNRF3/Znrf3の役割を明らかにすることである。昨年度までの研究で、Znrf3エクソン2欠失ホモ接合性マウスが高い割合で離乳前に死亡すること、死亡原因が副腎皮質機能低下症でなないことが明らかとなった。当該期間では、C57BL/6Jへのコンジェニック化による死亡割合の評価、Znrf3エクソン2欠失ホモ接合性マウスの副腎の組織学的な評価を行った。 Znrf3エクソン2欠失マウスをC57BL/6Jにコンジェニック化した。その結果、Znrf3エクソン2欠失ヘテロ接合性マウスは野生型と同様の死亡割合であったが、ホモ接合性マウスは週齢2までに全て死亡した。Znrf3エクソン2欠失ホモ接合性マウスの全身の組織学的な解析から、死亡例において鼻腔内嗅上皮の空胞変性とアポトーシス、線毛細胞の減少が認められた。副腎の組織学的な解析から、体重あたりの副腎重量比が野生型に比して有意に大きく、皮質束状層の過形成が示唆された。また、髄質細胞が皮質内へ分散し、皮質内側に大型の核を持つ細胞群から構成される新たな層構造が認められた。これらの結果から、Znrf3エクソン2欠失ホモ接合性マウスの死亡原因が嗅上皮変性と関連すること、同マウスに副腎皮質機能低下症はみられないものの副腎の層構造に変化が見られることが新たに判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Znrf3エクソン2欠失ホモ接合性マウスのC57BL/6Jへのコンジェニック化に時間を要した。同マウスの死亡率の詳細な評価、死亡原因の究明のために必要なステップであったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
Znrf3エクソン2欠失ホモ接合性マウスの死亡原因について、嗅上皮変性との関連を検索していく。さらに、副腎の免疫学的染色およびRNAシーケンス解析を進めて、層構造の異常について病態と機序の解明を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に生じた余剰金は、Znrf3エクソン2欠失ホモ接合性マウスのコンジェニック化に時間を要して、予定していた免疫染色や分子遺伝学的な検討ができなかったためである。この余剰金は2024年度に同じ目的で使用する予定である。
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