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2022 年度 実施状況報告書

有機酸代謝異常症における高アンモニア血症発生機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K08683
研究機関藤田医科大学

研究代表者

前田 康博  藤田医科大学, オープンファシリティセンター, 准教授 (60275146)

研究分担者 伊藤 哲哉  藤田医科大学, 医学部, 教授 (80336677)
中島 葉子  藤田医科大学, 医学部, 講師 (70598309)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード高アンモニア血症 / メチルマロン酸血症 / プロピオン酸血症 / アセチルグルタミン酸 / アセチルグルタミン酸合成酵素 / 有機酸代謝異常
研究実績の概要

プロピオン酸血症(PA)やメチルマロン酸血症(MMA)は、急性発作時において代謝性アシドーシスを発症すると同時に高アンモニア血症をきたし、患者の予後に大きく影響する。高アンモニア血症は、これら疾患において蓄積するプロピオニル-CoAやメチルマロニル-CoAが、N-アセチルグルタミン酸合成酵素(NAGS)の活性を抑制する事で発症すると考えられている。しかし、PA, MMAにおける高アンモニア血症の発症機序についての詳細は解明されていない点が多く、NAGSの阻害以外の機序が関与していることも予想される。本研究ではPAおよびMMAにおける二次的生化学的異常である高アンモニア血症の病態を代謝物変動や酵素活性から解明し、適切な薬の選択、適切な栄養療法を開発することで、重症例の予後を改善することを目的とした。
アンモニア生成に関わる代謝物の一斉分析をおこなうため、LC/MS/MSを利用した分析法の開発をおこなった。具体的にはNAGSの活性抑制によって減少すると予測されるN-アセチルグルタミン酸(NAG)、アンモニア生成に関わるグルタミン、グルタミン酸、尿素サイクルに関わるカルバミルリン酸から生成するカルバミルアスパラギン酸およびオロト酸などである。
これら代謝物の一斉分析法を開発後、PAおよびMMA患者の血中代謝物を測定したところ、グルタミンは低下傾向を示した。尿素サイクル異常症における高アンモニア血症ではグルタミンの上昇を伴うため、PA, MMAにおける高アンモニア血症の発症機序はNAGSの抑制によらないことが示唆された。一方で、NAGS阻害で低下すると考えられているNAGについては、血中濃度が予想外に薄かったため、今回の分析法において変化を確認するに至らなかった。今後、分析法の改善をおこないNAGの測定値を明らかにし、NAGSの活性値などから重症例の予後改善に応用する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

LC/MS/MSによる代謝物の一斉分析法を開発し、高アンモニア血症に関わると考えられる代謝物の一斉分析をおこなったが、目的とした物質の一つであるN-アセチルグルタミン酸の血中濃度が予測以上に薄く今回開発した方法では定量できなかった。現在その測定法の改善に取り組んでいるため、当初予定よりやや遅れている。

今後の研究の推進方策

今回開発したLC/MS/MSによる代謝物一斉分析において測定できなかった物質は、血中からの抽出法、誘導体化法などを検討し、測定法を改善し定量をおこなう。また、高アンモニア血症に関連する代謝物の変化についても検討する。
グルタミンの生成が低下したことからグルタミン合成酵素の活性が低下したことが予想されるため、酵素の活性を測定し、酵素阻害が起こっているかを検討する。
これらから、プロピオン酸血症、メチルマロン酸血症における高アンモニア血症の発症機序を考察する。

次年度使用額が生じた理由

開発した分析法で、目的物質の定量がおこなえなかったため、購入予定の試薬購入を見合わせた。翌年度分析法改善の検討をおこなう際に翌年度分の助成金と合わせて試薬を購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] メチルマロン酸血症における新生児マススクリーニング時のC3値および酵素活性と症例との関連2022

    • 著者名/発表者名
      前田康博、中島葉子、横井克幸、伊藤哲哉
    • 学会等名
      第63回日本先天代謝異常学会

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公開日: 2023-12-25  

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