研究実績の概要 |
視床下部の炎症反応が、摂食抑制ホルモンであるレプチンのシグナルを障害し、過食になることが肥満の原因の1つであることがわかってきた。我々は、核酸センサーのアダプター分子Stimulator of interferon genes(STING)が、Toll様受容体3(TLR3)やTLR4のアダプター分子TIR-domain-containing adapter-inducing interferon-beta (TRIF) を介して、視床下部炎症を誘導し、レプチンシグナルを障害して過食性肥満の発症に深く関与することを見出している。R5年度は、STING上流の自然免疫センサーの関与を検討した。 STING上流の自然免疫センサーとしてcGAS (cyclic GMP-AMP synthase), DDX41(DEAD-box helicase 41), IFI16 (interferon gamma inducible protein 1)が報告されている。そこでcGAS, DDX41, IFI16の遺伝子発現を検討した。cGAS, DDX41, IFI16は視床下部に発現し、高脂肪食摂餌による顕著な遺伝子発現の増加は認められなった。cGASの関与を調べるために、cGAS遺伝子欠損マウスに高脂肪食を摂餌させ、摂餌量と体重の増加を調べた。その結果、STING欠損マウスやTRIF欠損マウスと同様に、cGAS欠損マウスは野生型マウスより摂餌量が軽減し、体重増加も軽減することがわかった。 以上から、STING-TRIF経路の上流の自然免疫センサーとしてcGASが最有力候補と考えている。
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