研究課題/領域番号 |
22K08690
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷口 歩 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10845225)
|
研究分担者 |
今村 亮一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40456976)
阿部 豊文 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (90750894)
山中 和明 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10648017)
玉井 克人 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座教授 (20236730)
新保 敬史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授(常勤) (70780609)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | HMGB1 / 腎 / 線維化 / 慢性腎障害 |
研究実績の概要 |
本研究では、High mobility group box 1 (HMGB1)のうち骨髄間葉系細胞血中動員活性ドメインKOI2を含むペプチドを用いて間葉系幹細胞を腎へ誘導しすることにより腎障害を抑制しうるか、また同ペプチドの腎不全に対する臨床応用の可能性について検討している。本年度は既に作成方法を確立している雄性SDラットを用いた片側尿管閉塞モデルを腎線維化の例として、まずは2週間HMGB1ペプチドを既知のプロトコルに沿って投与するスケジュールで実験を行った。病理組織像等で腎線維化を観評価したが、ペプチド投与による有意な繊維化の抑制を認めなかった。個体ごとのデータのばらつきも存在したため、個体数を増やして再検を行ったが、治療効果を認めなかった。線維化の完成後のみではなく障害の早期も併せて観察する必要があると考えたため、急性腎障害の代表的なモデルである虚血再灌流障害モデルでも並行して投薬実験を行い、こちらは血清学的な評価を中心に観察したが、やはり治療効果を認めなかった。ここで肝線維化に対する投与実験の経過を参考とし、より長期間の投薬が有効である可能性が高いと判断し、慢性腎線維化に対するペプチド投与プロトコルの見直しを行い、実験予定とした。また、慢性モデルでの再検討と並行して、ペプチドの薬効を妨げる機序が存在するのか詳細に検討するためにシングルセル解析を用いた腎障害の評価を行った。ラットにおけるシングルセル解析の知見蓄積不足という背景を鑑みて、短期間で解析を開始できる急性腎不全モデルを先行して解析に着手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ペプチドの薬効は想定したレベルになく、一部の個体ではむしろ逆説的な結果となっているため。 また、急性腎障害に対しても同時に検討が必要であるという判断から異なる腎モデルに対する投薬実験や腎障害そのものの解析へ一時的に人的リソースを配分したため。 当初計画していた如く薬効確認のち機序解析といった方向ではなく、適切な投与スケジュールの検討を継続する必要がある。また、これと並行して想定されるペプチドの機序との関連で腎障害そのもののメカニズムについても解析を行う必要が発生した。
|
今後の研究の推進方策 |
同ペプチドの他臓器における研究経過も参考としつつ、引き続き適切な投与スケジュールを検討する。また、ペプチドの薬効が腎障害に対しても他臓器同様に期待しうるものなのか、相違点は何かといった観点で腎障害そのもののメカニズムについても解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行金額が異なった。
|