研究課題/領域番号 |
22K08712
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大原 利章 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (40623533)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 鉄 / 大腸癌 / 腫瘍免疫 / HIF-PH阻害薬 |
研究実績の概要 |
HIF-PH阻害薬のRoxadustat、Vadadustatは、いずれも鉄キレート能を有しており、薬剤をcolon 26細胞に直接投与しても増殖抑制効果は得られないが、in vivoでcolon 26細胞を用いて皮下腫瘍を作成し、それらの薬剤を投与すると、腫瘍の増殖抑制効果が得られた。さらに免疫不全マウスで同様の実験を行うとその効果が消失する事が確認された。これらの結果からRoxadustat、Vadadustatには腫瘍免疫の賦活化効果について確立する事ができた。本年度はさらにPD-1抗体と併用した場合に、Roxadustatの上乗せ効果が得られるか検証を行った。colon 26を用いて同種皮下腫瘍モデル(BALB/c-WT)を作成し、Roxadustatは50mg/kgで2日に1回投与し、PD-1抗体は7mg/kgで週3回の投与を行った。RoxadustatとPD-1抗体を併用すると、それぞれ単剤で使用するよりも優位に腫瘍の増殖抑制効果が得られる事が明らかとなった。腫瘍の免疫染色を行うと、CD8+T細胞が優位に増加しており、フローサイトメトリーで解析すると、CD8+T細胞の増加が確認され、さらにエフェクターT細胞が増加している事も確認された。鉄キレート効果を有するHIF-PH阻害薬は、PD-1抗体とは異なるメカニズムで腫瘍免疫が賦活化させるため、相乗的な効果が得られたと考えられた。これらの知見は鉄キレート剤のHIF誘導効果を活用した新規がん免疫療法の開発にといて重要な実験結果であり、関連の学会で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初期待したHIF-PH阻害薬による抗腫瘍免疫の賦活化は野生型マウスおよび免疫不全マウスを用いる事で、確立する事ができた。また、本年度はHIF-PH阻害薬とPD-1抗体を併用するとさらに抗腫瘍効果を高める結果が得られ、想定した結果が得られており、概ね順調に進展している考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの結果で、当初期待した鉄キレート剤によるPseudohypoxiaによって、CD8+T細胞の機能が高められ、抗腫瘍免疫応答を増加させる事を明らかにする事はできた。今後は、そのメカニズムの詳細について明らかにするために、免疫に関係する脾臓についても解析を行い、in vitroでも脾臓から単離したCD8+T細胞やCD4+T細胞を用いて検証実験を行う予定にしている。最終的にはこれまでに得られた研究成果を論文にまとめたり、海外の学会でも情報発信を行う予定である。
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