今後の研究の推進方策 |
①組織マイクロアレイを作成する。具体的には、癌組織の代表的な部位をマーキングし、組織マイクロアレイヤー(Tissue microprocessor KIN-2, Azumaya)を用いて癌組織から直径4mmの円柱状にコアを抜き、別のパラフィンブロックに整列させる(15コア/1ブロック)。そして、組織マイクロアレイから免疫組織化学染色を行うため4μmの薄切標本を作製する。 ②免疫細胞と免疫療法関連因子のマーカーの免疫組織化学的染色を行う。具体的には、腫瘍免疫微小環境(CD3, CD5, CD8, CD4, FoxP3, CD20, CD79a, CD10. CD68, IL-7R, IL-12R)と免疫療法関連因子(PD-L1, PD-1, Mesothelin)の染色を行う。 ③免疫組織化学染色の標本の判定を行う。PD-L1やMesothelinの評価は人により顕微鏡下で半定量的に判定する。免疫細胞に関しては、画像解析AIシステムを利用する。免疫細胞の浸潤が目立つ3視野(200倍視野、接眼レンズの視野数22mm)を選択し、顕微鏡用デジタルカメラ(Olympus)で組織写真を撮影する。画像解析システムを用い、腫瘍内に浸潤した免疫細胞数を計測し、3視野での平均値を各症例の計測値とする。 ④免疫組織化学染色の判定結果を統計解析する。統計解析法としては、Fisher exact test, Mann-Whitney U test, Kaplan-Meier method, Cox proportional hazards regression modelなどを用いる。免疫細胞の計測数と腫瘍の悪性度(患者の予後、組織学的グレード分類、脈管浸潤、転移の有無、生存の有無)との関連性を統計学的に解明する。
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