研究課題/領域番号 |
22K08716
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森田 和豊 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00608862)
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研究分担者 |
吉住 朋晴 九州大学, 医学研究院, 教授 (80363373)
原田 昇 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80419580)
伊藤 心二 九州大学, 大学病院, 講師 (90382423)
栗原 健 九州大学, 大学病院, 助教 (50823598) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | iPS細胞 / Cas9 / 肝細胞 |
研究実績の概要 |
現時点では、iPS細胞から機能的に完全な肝細胞を誘導する方法は開発されていない。dCas9-SAM-sgRNAシステムは標的遺伝子の転写を強力に活性化するため、dCas9-SAMを発現するiPS細胞 (iPS-dCas9-SAM) を肝細胞に分化させ、特定の遺伝子に対するガイドRNA (sgRNAs) を導入すれば、その機能に特化した肝細胞を作ることができ、尿素サイクル異常症など特定の機能を低下・欠失した疾患の治療法につながる可能性がある。 まずiPS-dCas9-SAMの培養を開始した。培養する過程においてiPS細胞が線維芽細胞様に分化する傾向にあったが、安定培養に成功した。その後、iPS細胞から肝細胞に分化させる過程で、内胚葉細胞のマーカーであるSox17の発現をRT-PCR、蛍光免疫染色を用いて確認した。iPS細胞マーカーであるOct4の発現が低下しているのを同様にRT-PCRで確認した。 次に肝細胞に分化させ、HNF4α、FOXA2、CEBPBの発現をRT-PCR、蛍光免疫染色を用いて確認した。尿素サイクルにはOTC、CPS1、ASS、ASL、ARG1等の因子が関わっているため、これらの発現がiPS由来肝細胞でどれだけ発現しているか検討した。人から単離された肝細胞と比べて、mRNAの発現をRT-PCRを用いて検討したところ、OTC:0.0015倍、CPS1:0.07倍、ASS:0.18倍、ASL:0.07倍、ARG1:0.0004倍の発現であった。これらの遺伝子発現を活性化するためにsgRNAを設計検討している。ガイドRNAの導入方法として、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、ウイルス法などを比較検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
iPS細胞の安定培養の確立にやや時間を要したため。ガイドRNAの設計検討や導入方法の条件設定に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
iPS由来肝細胞において、正常肝細胞よりも発現が低下している遺伝子をリストアップする。これらの標的遺伝子に対するガイドRNAを設計検討する。ガイドRNAの導入方法として、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、ウイルス法などを比較検討する。ガイドRNAの導入によって、機能的成熟度を高めることを目指す。また導入後は一つ一つの遺伝子の発現をRT-PCRで検討し、最終的には5つの遺伝子の同時活性化、urea assayを用いて、尿素サイクルが十分に活性化されていることを検証する予定である。
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