研究課題/領域番号 |
22K08718
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
吉田 直矢 熊本大学, 病院, 特任教授 (60467983)
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研究分担者 |
渡邊 雅之 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 部長 (80254639)
今村 裕 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医長 (70583045)
原田 和人 熊本大学, 病院, 特任助教 (70608869)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 食道癌 / 食道切除術 / 呼吸器合併症 / 慢性閉塞性肺疾患 / 肺気腫 / 予後 |
研究実績の概要 |
食道癌手術は合併症が多く、とくに呼吸器合併症術は手術関連死亡の原因として最多である。呼吸器合併症を客観的、包括的に予測するstrategyは確立されておらず、食道癌診療における重要な課題となっている。 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は食道切除術後の合併症のリスクとなるが、COPDの重症度と合併症との関連は明らかになっていない。この背景としてCOPDの重症度を定量化するモダリティがないことが挙げられる。CTにおける気腫性変化はCOPDの重症度と相関し、COPD患者の予後と関連することが報告されている。そこで、熊本大学消化器外科において2005.4-2021.6に行った食道切除術776例を対象に、画像ソフトZiostation2を用いて肺の気腫性変化を定量化し、術後合併症との関連を調査した。 その結果、気腫性変化の指標であるlow-attenuation volume ratio (LAVR)高値が、開胸手術における重症合併症、肺炎の独立したリスク因子であることが明らかになった。一方で胸腔鏡手術ではLAVRと術後合併症との関連が認められなかった。胸腔鏡手術の低侵襲性が、COPDが手術に及ぼす悪影響を緩和していることが示唆された。LAVRは測定が容易で客観性、再現性に優れており、呼吸器合併症の新しい予測指標として有用である。LAVR高値のハイリスク患者に対しては、低侵襲手術を行うことで合併症を回避できる可能性が示唆された。 この結果を論文としてまとめpublishされた(Thorac Cancer. 2024;15:15-22)。このほか、食道癌、手術合併症、予後に関する付随研究論文をpublishした(Esophagus. 2023;20:660-668)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗は順調である。 食道癌手術後の呼吸器合併症に関して、新規モダリティを用いた予測法が確立でき、それを論文化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
他施設共同研究を進めると共に、COPDの客観的評価の臨床的意義」については、加齢との関連、術前治療との関連などのサブ解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗に応じ試薬・実験消耗品等購入予定
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