研究課題/領域番号 |
22K08724
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所) |
研究代表者 |
魏 菲菲 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所がん免疫療法研究開発学部, 研究員 (50833969)
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研究分担者 |
笹田 哲朗 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), がんワクチン・免疫センター, 部長 (70293967)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ICI / cytokine / machine learning / biomarker |
研究実績の概要 |
本研究は、機械学習を駆使して大規模ながん免疫治療患者の末梢血可溶性因子プロファイルから免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療効果の予測指数(Cytokine-based ICI Response Index; CIRI)を創出し、臨床応用に向ける汎用性・低侵襲性を重視した個別化免疫治療ツールの開発を目的とする。 本年度には、昨年度まで得られた成果を論文公表した上、①CIRIの予測性能をより広い範囲での検証を行うため、新たなICI治療を受けた非小細胞肺がん患者約140例由来の末梢血サンプルを収集し、マルチプレックスサスペンションアレイにより血中可溶性因子プロファイルの計測を完了した;②高い精度でICI治療後の全生存期間(OS)を予測できるCIRIに関わるICIの作用メカニズムの解明に向けて、CIRIとフローサイトメトリーにより測定した血中免疫細胞集団のプロファイル(63種)との相関を求めたところ、preCIRIと有意に正(リスクの高い方向)の相関を示す免疫細胞種としてCD8+PDL1+ T細胞(相関係数0.29;P=0.004)、CD4+PDL1+ T細胞(相関係数0.22;P=0.027)、CD8+PDL1+LAG3+ T細胞(相関係数0.21;P=0.038)などが確認され、有意に負(リスクの低い方向)の相関を示す免疫細胞種としてLin-HLADR+CD123+CD11c-形質細胞様樹状細胞(相関係数-0.38;P=0.00001)、CD3+CD56+NKT細胞(相関係数-0.29;P=0.003)、CD19+B細胞(相関係数-0.25;P=0.013)などが確認された。これらの免疫細胞種はICI治療の長期的な効果との依存関係があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度には、CIRI開発のために使用するICI治療を受けた非小細胞肺がん患者222例の末梢血可溶性因子プロファイルの研究結果を論文化して公表した。計画通り、CIRIの実臨床応用に向けてより広い範囲での検証を行うため、ICI治療を受けた非小細胞肺がん患者約140例由来の末梢血サンプルの収集およびマルチプレックスサスペンションアレイによるサイトカインプロファイルの計測を完了した。全生存期間などの臨床情報が確定された時点から検証解析をスタートする準備が整えた。また、計画通りメカニズムの解明に向けて、CIRIと関連性の高い免疫細胞種の同定を行い、抗腫瘍免疫を担う可能性のある免疫細胞が推定できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、検証コホートの観察期間終了後に臨床データを固定し、CIRIの精度および汎用性に関する検証解析を行う予定。また、追加されたデータをフィードバックし、臨床応用に向けるCIRIモデルの性能向上およびプラットフォームの統合・整備を行う予定。
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