研究課題/領域番号 |
22K08735
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉住 朋晴 九州大学, 医学研究院, 教授 (80363373)
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研究分担者 |
戸島 剛男 九州大学, 大学病院, 助教 (40608965)
武石 一樹 九州大学, 大学病院, 特別教員 (50733713)
原田 昇 九州大学, 大学病院, 講師 (80419580)
伊藤 心二 九州大学, 大学病院, 講師 (90382423)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 人工肝臓 / iPS細胞 / 肝臓 / ラット |
研究実績の概要 |
肝不全に対する唯一の根治的治療である肝移植医療において、グラフト不足と肝移植後拒絶反応が解決すべき問題である。本邦では主に生体肝移植が施行されているが、グラフト容積不足によって引き起こされる過小グラフト症候群は術後生存率を大きく低下させる。患者本人の細胞からiPS肝細胞(iPS-Heps)を作成し、それを肝移植と組み合わせることで、グラフト不足や過小グラフト症候群を克服できる可能性がある。これまでにiPS細胞からiPS-Hepsを作成する方法は報告されているが、肝不全患者の救出には多量の肝細胞の培養が必要であるが、これまでにiPS-Hepsを大量培養できていない。我々は、iPS細胞から分化させた星細胞(iPS-Stellates)と共培養することで、iPS-Hepsをより分化させ、増殖させることができた。今回の目的は、iPS-Stellatesを共培養することによるiPS-Hepsを分化させ、増殖させるメカニズムを明らかにし、iPS-Hepsを大量培養させる方法を確立することである。本研究の今年度までの成果を報告する。iPS細胞より肝細胞の誘導・分化を行った。誘導したiPS由来肝細胞はヒト正常肝細胞と比較しHNFαやアルブミンに関してはほぼ同等の発現を認めた。作成したiPS由来肝細胞を免疫抑制ラットに移植し移植後60日目にラット肝を評価した。ヒト特異的アルブミンの免疫染色にて、拒絶を認めず、90%以上の細胞が陽性となり、再分布させることができた。ラットにiPS由来肝細胞を移植した90日目の肝臓をコラゲナーゼ処理することで、肝細胞を単離した。単離した肝細胞は、同様にヒト特異的アルブミンの免疫染色にて90%以上陽性細胞であり、STEM121(ヒト特異的マーカー)も同様に陽性となった。回収できた細胞は、500x106であり、移植した細胞の500倍の細胞を回収することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ここまでの実験は概ね大きな予定変更はなく順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ラットから単離した細胞をgDNAをPCRしたところ、ラット由来DNAとヒト由来DNAが混在している状態であった。今後、ラット肝細胞とヒト肝細胞を適切に分離する方法を検討している。フローサイトなどでの分離を検討している段階である。
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