研究課題/領域番号 |
22K08749
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 公治郎 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (10848203)
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研究分担者 |
影山 詔一 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (60707545)
内田 洋一朗 京都大学, 医学研究科, 講師 (30597745)
瀬尾 智 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (70646546)
波多野 悦朗 京都大学, 医学研究科, 教授 (80359801)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肝臓 / 虚血再灌流障害 / 自然免役細胞 |
研究実績の概要 |
肝IRIの発症において,虚血時に障害を受けたグラフト組織から染み出して再灌流と共に血中に放出されるDAPMS(damage associated molecular patterns)は自然免疫細胞を活性化し,それによりもたらされる炎症性細胞障害が肝障害を助長させる。その結果,より一層のDAMPSが放出され,自然免役細胞が更に活性化される。したがって肝IRIの予防戦略においてグラフト細胞の保護だけでなく,自然免疫細胞の制御を行うことは非常に重要である。肝移植においてグラフト(ドナー由来)のCEACAM1(CM1)がグラフト細胞死を軽減することがこれまでに報告されているが、レシピエントの自然免疫細胞の制御におけるCM1の役割に関しては、まだ十分に解明がなされていない。 WTマウスから採取した肝臓を冷保存(18h)後にWTマウスまたはCM1-KOマウスに移植した。WT>WTに比べてWT>CM1-KOのOLTでは、再灌流6時間後の血清AST/ALTが有意に高く、組織学的IRIスコアが有意に高く、肝組織中のLy6G陽性細胞(好中球)数が有意に多いことが分かった。また移植肝において好中球がとりわけCM1を強発現していることも分かった。 これまでの研究からCM1が好中球の細胞死の一つであるNETosisに関与することが想定されるため、肝移植患者術後血清におけるNETosisのマーカー (Citrullinated Histone H3: H3Cit)の測定を行ったところ、血清H3Cit値と肝逸脱酵素(AST、ALT)値に正の相関があることが分かった。好中球NETosisが移植における肝IRIの発症に関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体の解析から、好中球NETosisが移植における肝IRIの発症に関与する可能性が示唆された。マウス肝移植モデルの解析から、レシピエントの好中球におけるCM1の発現がグラフトの肝障害に影響を及ぼすことが示唆された。好中球においてCM1がNETosisを制御する機序に関して研究を進める手がかりが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4-5年度の成果をもとに、CM1が好中球を制御する機序について研究を進める。骨髄由来の好中球をLPSまたは、冷保存ストレス後に肝から放出されるDAMPS(liver flush)にて刺激する実験を行い、解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた動物飼育管理費用が想定していたよりも少なかったので余剰が生じた。 今年度はCM1によるNETosis制御の機序を追究するため、マウス移植実験およびマウスからの好中球採取を行う。マウス・ヒトのサンプルに対する解析も行っていく予定である。
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