研究課題/領域番号 |
22K08764
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
三好 康雄 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50283784)
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研究分担者 |
永橋 昌幸 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (30743918)
片桐 豊雅 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所, 所長 (60291895)
文 亜也子 兵庫医科大学, 医学部, 病院助手 (60936079) [辞退]
松下 洋輔 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所, 研究員 (70634450)
凌 一葦 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70804540)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 乳癌 / エリブリン / バイオマーカー / 癌微小環境 / サイトカイン / 治療開発 |
研究実績の概要 |
2023年度は研究課題A~Cに取り組んできた。研究課題Aでは、乳癌患者臨床データ解析によるエリブリン治療効果予測バイオマーカーの探索を行った。兵庫医科大学においてエリブリンを投与された進行再発乳癌68症例を対象とし、ALC、NLR、TNF-α、可溶性IL-2R、IL-6等の定量を行い、臨床病理学的因子、治療成績(治療効果判定、奏効率、無増悪生存期間、全生存期間)とを統合解析し、IL-6が最も有力なバイオマーカーであること、IL-6高値の患者群では、CD8陽性リンパ球が有意に少なく、骨髄由来抑制細胞が有意に多いことを解明した。以上の研究成果を論文として報告した(Breast Cancer Res Treat. 2023;202(3):575-583)。研究課題Bでは、乳癌細胞におけるIL-6の役割とその阻害による治療効果の探索を行い、ヒト由来各種乳癌細胞株を用いて、MTTアッセイによりエリブリンにおけるIC50を測定した。細胞株は、MCF-7、HCC1395、HCC1500、MDA-MB-453、MDA-MB-231等を用い、エストロゲン受容体(ER)、HER2受容体の発現に基づきサブタイプごとの検討を行った。以上の成果を2024年度に学会で報告予定である。研究課題CではMDA-MB-231のXenograftモデルでエリブリンの効果を評価するモデルを作製した。今後、エリブリン耐性乳癌細胞株のXenograftモデルと合わせて、エリブリンとIL-6阻害薬との併用効果について検証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従って、現在まで研究は順調に進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は研究課題Bの研究を総括し、研究課題Cを進めていく予定である。研究課題Bについては、エリブリンの薬剤効果とIL-6の直接作用による薬剤耐性機序に関して、細胞株のRNAシークエンスによるPathway解析等も駆使してメカニズムの追究を行っていく予定である。細胞実験ではIL-6阻害剤による癌細胞への直接作用を評価し、癌微小環境および免疫を介したエリブリンの作用がある場合は、生体内で評価する必要があり、研究課題Cにおいて動物実験で評価する予定である。研究課題Cでは、通常乳癌細胞株およびエリブリン耐性株のXenograftモデルを用いて、エリブリン薬剤耐性メカニズムにおけるIL-6の役割について検討していく予定である。エリブリンと抗IL-6抗体の併用効果について、Xenograftモデルを用いて腫瘍径の変化と病理学的評価により検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の研究において、一部次年度に持ち越されたため。
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