研究課題/領域番号 |
22K08776
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上村 健一郎 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (60379873)
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研究分担者 |
池上 浩司 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (20399687)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 膵癌 / 微小管 / 翻訳後修飾 / Δ3化 |
研究実績の概要 |
膵癌はヒト固形癌の中でも極めて予後不良な難治癌であり,新しいバイオマーカーや治療法の確立が必要である。抗癌剤パクリタキセルの作用部位でもある微小管には,それを構成するチューブリンに翻訳後修飾(タンパク質が生合成された後に様々な修飾を受けタンパク質の機能や活性が調整される修飾)が多数認められ,その中には癌の増殖や抗癌剤耐性,転移との関係も報告されている。その修飾の1つであるΔ3化チューブリンは近年報告された新しい修飾であるが,申請者らは膵癌細胞が抗Δ3チューブリン抗体で強く染色されることを発見した。本研究ではΔ3化の特性について,膵癌患者の手術検体を用いることで,1)膵癌組織におけるΔ3化の亢進,2)膵癌でΔ3化が増加するメカニズム,3)Δ3化やその関連酵素の発現量と膵癌患者の予後との関係,これら3つの命題に対する解を得ることを目的としている。 現在、膵癌患者の手術検体を用いて膵癌組織におけるΔ3化の発現量および細胞分裂時の紡錘体の形態学的変化を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵癌患者の手術検体を用いたΔ3化の亢進についての評価方法の確立は可能であり、また細胞分裂時の紡錘体の形態学的変化の評価方法についても確立することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
膵癌でΔ3化が増加するメカニズムをΔ3化と関連する酵素との関係で解析する予定であり、その実験系を確立することが、今後の課題である。 また膵癌患者の背景、血液生化学検査、病理組織検査、画像所見などと照らし合わせ、Δ3化における予後の変化や抗癌剤耐性についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今後、Δ3化と関連する酵素を免疫組織化学的に検証し、その試薬や実験器具などの消耗品に対する出資が見込まれ、それらに使用する予定である。
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